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2012.2.24一般質問

  私は、今、日本は人口減少社会という国難にあると考えています。地方経済を元気づける当面の対応も必要ですが、一時的な景気対策でなく、真に地方を含めて日本を一から作り直す国家ビジョンが必要ではないかと考えます。評論家の中には、地方創生には「平成の合併」を元に戻すしかないと言われる方もいますが、その是非はともかくとして、国家100年の計を打ち立てなければなりません。人口減少対策に特効薬はありません。今、「3だけ」人間(「今だけ」「自分だけ」「金だけ」)と言われていますが、自分の出世と金儲けだけを考えるのではなく、自分の生まれた町や日本の将来を根本において人生を考える、そのような教育しかないのではないでしょうか。いつの世も国難を切り拓いてきたのは「教育の力」だと思います。「国家100年の計は教育にあり」です。

と申し上げ、以下3項目5点について分割方式で質問致します。

 1 人口減少対策について

(1)人口減少社会を生み出した要因について

 日本創成会議・人口減少問題検討分科会(座長:元岩手県知事 増田寛也氏)が発表した将来推計人口調査は、社会全体に大きな波紋を拡げ、人口減少対策はその後の国・自治体にとって最重要課題となっています。推計によると2040年には全国896の市町村、実に全国の自治体の約半数が「消滅可能性都市」として、今後、持続的な行財政運営が困難になってくるとされています。県内でも21市町がこの消滅可能性都市に該当しており、神崎郡の3町も含まれています。さらには、896自治体のうち、523の市町村は人口が1万人未満となり、消滅の可能性が極めて高いと報告しています。人口減少の要因は、20~39歳の若年女性の減少と地方から大都市圏(特に東京)への若者の流出の2点であり、少子化対策と東京一極集中の是正を行う必要があると述べられています。

 ちなみに、神崎郡における新成人人口と出生数の状況を見てみますと、福崎町の平成27年1月の人口は19,736人で、そのうち新成人数は234人、また23年から25年までの1年間の平均出生数は160人、市川町の27年1月の人口は12,522人で、そのうち新成人数は143人、1年間の平均出生数は73人、神河町の27年1月の人口は11,510人で、そのうち新成人数は149人、1年間の平均出生数は59人、と3町ともに新成人数と比べて出生数が大幅に減少しており、確実に少子化が進んでいます。また、平成26年2月時点における県内の市町別の高齢化率の状況を見てみますと、神崎郡では神河町が32.7%と県内で6番目に高く、次いで市川町が31.9%と県全体の高齢化率25.3%を上回り、福崎町が25.1%とわずかに下回る状況であり、人口減少とともに急速に高齢化も進んでいることが分かります。

 なお、神崎郡3町における20年後の人口を新成人数に対する出生数の割合をもとに単純化して試算してみますと、福崎町で現在の19,736人から約68%程度の13,420人にまで減少し、同じく市川町で51%程度の6,386人、神河町で40%程度の4,604人まで減少することなります。もちろん、人口の増減は様々な要因があることは承知していますし、市川町や神河町はここまで人口が減少しないかもしれませんが、ただ、現状もそうであるように神河・市川町の多くの若者が結婚をして福崎町に住んでいるという状況が見られ、自分が生まれ育った地域になかなか人口が定着しないという傾向が今後ますます拡大するのではないかという不安を抱いております。

 県においても過去に国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口結果に基づいて、独自に2040年の将来推計人口予測をしており、そのなかで、本県の総人口は2010年をピークとして2040年には現在の553万人から467万人まで86万人も減少することになっています。

 確かに、数字的な現象は、増田氏の述べられているとおりだと思いますし、地方においては若年世代の東京や大都市への人口流出が人口減少の大きな要因であると思いますが、やはり根底には効率を優先したまちづくり・国づくり、大企業を中心とした効率を優先した産業・経済構造にあると私は考えています。また、若者を地域に引き留めるには雇用の場の確保が必要だと言われますが、神崎郡で言えば中播磨や東播磨、北播磨、西播磨を通勤圏内と見れば雇用の場は決して少なくありません。十分にあります。しかしながら、地域の優秀な企業が求人を出しても、応募がないということがよく言われます。

 こうした現状や先の日本創成会議の予測において、都市部への人口流出が続くことを前提により厳しく試算していることを考えると、県の将来推計人口予測については、少し楽観的な印象を受けるのですが、ここで改めて危機感を持って将来予測を見直すことも必要だと思います。

 そこで、本県においても本格的な人口減少社会を迎え、人口減少対策が急務の課題となる中で、今後、各自治体の創意工夫をこらした施策に期待をするところですが、まず、県としてこの人口減少社会を生み出した要因について、当局のご所見をお伺いします。

 【答弁者:井戸知事】

 本県の人口は、高度成長期に、瀬戸内海臨海地域での産業集積や住宅開発等が進み、県外からの団塊世代人口の転入もありまして、急激に増加して参りました。県内でもこの地域への人口移動が進んでいます。結果として、昭和45年の470万人の人口が、40年で90万人増加し、平成21年の560万人を達成いたしました。しかし、これを頂点に減少に転じています。これは、昭和54年に合計特殊出生率が1.75となり、夫婦が望む希望出生者数1.8を下回った時点で有効な対策をとってこなかったことが要因の一つではないかと考えています。人口がどんどん増えている中での合計特殊出生率1.8を切ったということでありますので、なかなか全体として動けなかったということもあるのではないかと思います。

 国全体も同じことが言えると思います。長期ビジョンでは、30年後の2040年には470万人になる、つまり、40年かけて増えてきた人口が30年で減少すると見込んでおります。最近の減少要因を自然動態で見ると、平成20年以降、高齢化と少子化の影響で死亡数が出生者数を上回る「自然減」が続いています。高齢化としては、26年の高齢化率は25.3となっており、高齢化の急速な進展により高齢化による死亡数が増加している。少子化としては、団塊世代の子どもたちが40歳代になったことに伴い、出産適齢期の女性数が減少し、26年で4万4千人と出生数が減少しています。社会動態も22年以降、転出数が転入数を上回る「社会減」が続き、特に東京圏への転出超過が続いています。平成26年では7,300人の減となっています。東京圏の人口は、人口拡大期、経済成長期等に拡大し、本県からは20歳代の若者が大学進学や就職時等に転出する傾向が顕著です。これらに加え、地方における人口は、学校や企業の立地、交通アクセス、近隣都市との関係等によっても変動して参ります。

 2005~10年の純移動率が継続するとした日本創成会議の推計は、東京一極集中に警鐘を鳴らす点では大変評価できると考えますが、女性の社会減の傾向や企業撤退等の一時的な影響がそのまま続くという極端な前提の下での予測でもあります。本県では、一時的な影響を除くため、長期的趨勢を捉えた国立社会保障・人口問題研究所の推計に基づき、人口移動が一定程度、収束するとして見込んだものであります。

 国の地方創生の長期ビジョンは、2060年に人口を1億人程度確保するとされています。これは合計特殊出生率が、2025年で1.6、2030年で1.8、2040年で2.1というように向上することを前提にされたかなり希望的な展望ではないかと考えています。本県としては、今後策定する地域創生戦略の中で、将来への見通しを持つわけでありますが、多様な働き方の創出や多子型の出産・子育てが可能な環境づくりなどの地域創生の取組も踏まえる必要があると考えています。そのような意味で現実に即した目標として、現行の年間出生数4万4千人の継続を前提に、更に、2035年で1.8、2050年で2.01、と再生産可能な出生率を見込みまして、440万人程度になるとするのがより現実的なのではないかと思って、これから検討を進めて参ります。国と同じように見込みますと460万人になることになります。いずれにいたしても、人口減少、社会減・自然減両方から攻められているわけでありますので、この両方にわたって増加を図るために、今回の地方創生条例でも自然増対策、社会増対策を明確にしていこうとしているものであります。

 【再質問】

 人口移動の収束見込みを少し教えていただきたい

【知事答弁】

 これから社会減をどう減らしていくか、要するに26年の7,300人をどう収束させていくか、我々の大きな課題です。我々としては、2020年代から30年代にかけて、社会減がないような状況を生み出していくような方向で検討していきたいと考え、440万人の前提にしていくと申し上げました。

 (2)地域創生に向けた農業への支援について

 私が考える個別具体的な人口減少対策として、農業分野について質問いたします。この点については、本定例会で上程されました「兵庫県地域創生条例案」でも地域創生のための人口対策として、農林水産業部門における雇用の創出が掲げられているところです。

 本県の農業は全国と比べると兼業農家の割合が高く、また、農業就業人口に占める高齢者の割合も全国平均を上回っている状況にあります。こうした状況を受け、県では新規就農者の育成や6次産業化の推進、さらにはブランド力の強化など農業振興に多面的に取り組まれているところです。

 農業の振興という点については、これまでも多くの議員から質問が行われ、県下の事例が示されてきたところであります。私は地域に根付いてきた産業が衰退してしまっては、地域の活性化はないと思っています。神崎郡で言えば、やはり農林業の再興なくして地域再生はないのです。ただ、農業は決して規模の大きなものではなく大部分が米作を中心とした兼業農家と、牧畜・酪農・米作を営農する専業農家が自立した暮らしをされていました。農業が再び活気づくことにより、休耕田や耕作放棄地がなくなれば、自然環境や景観の保全にもつながり地域の魅力もアップし元気になります。

 先日1月30日に、姫路農業改良普及センターの皆様と年1回の懇談会を行いました。そのなかで、様々の具体的な取り組みの報告・成果など職員の皆様の熱い思いを受け取りました。懇談会では中播磨野菜増産大作戦、中播磨地域の集落営農の状況、中播磨地域の認定農業者の状況及び中播磨6次産業化塾の取組について意見交換を行いました。私は、集落営農や認定農業者への支援など普及センターの基本的な業務はもちろんでありますが、特に中播磨野菜増産大作戦と中播磨6次産業化塾の取組に大変興味を持ち、今後の生産者組合への成長や起業家の掘起しや起業支援の在り方としてモデル的取組ではないかと感じました。

 どちらにも共通していることは、農業生産者や農産物の加工に関わっている方々を集めて、視察・研修や情報・意見交換を行うほか、野菜増産大作戦では、栽培技術・知識、規模拡大とともに、営農意欲の向上に努めることで、野菜出荷組合の結成と域内流通業者との提携という実を結び、また、6次産業化塾では、農産物の加工基礎技術の習得、商品力アップ・経営の把握、販売力強化のネットワークづくり、さらにはイベントでの販売体験等々を通じて、農家レストランの開業(1件:古今)、1グループが商標登録の取得(黒かんべぇ:熟成ニンニク・卵黄ニンニク)、一人は国の6次産業化総合化事業計画の認定(1億円)を受け、パスタ工房(ラビオリほか)・農家レストランを建設するなど成果を生み出しています。また、新しい加工商品8品(シフォンケーキ、黒ニンニク、ふくちゃんいなり、さきちゃん巻ほか)を生み出しています。

 このように地域農業の振興にとって農業改良普及センターが果たす役割は非常に大きく、技術支援にとどまらず地域に根ざした取組みを提案し支援していくことは地域農業の活性化には欠かせません。成功するかしないかは、生産者や起業をしようする人の意欲・意識・努力がすべてですが、農業の活性化にとって重要なことは、主要産業として規模を大きくすることではなく、農業の担い手が自立していくことだと考えています。そのためには6次産業化やブランド化といった持続可能な取組みにもチャレンジしていく必要があるわけです。それらを支援することこそが県の果たすべき役割であると考えますし、そのためにも農業改良普及センターの充実・強化が必要と考えますが当局のご所見をお伺いします。

 【答弁者:藤原農政環境部長】

 地域農業の活性化には、農業生産規模の拡大、野菜生産など都市向け農業への転換、6次産業化や農産物のブランド化が不可欠と認識しており、これらを推進するため、農業改良普及センターでは生産技術の指導・普及はもとより、農産物の流通・加工・販売についての指導を行っているところであります。

 例えば、6次産業化については、姫路農業改良普及センターの指導で開発されたシフォンケーキが第一回全国米粉料理レシピコンテストで入賞するなど、商品力アップにつながり、今後の農業経営の安定・拡大が期待され、また、流通・販売については、同センターが若手生産者グループと流通業者を結び付け、地域内のレストラン等の求めに応じた農産物を安定的に供給するシステムの構築を目指しているところでございます。

 しかしながら、全県的に見ると特長ある品目、高品質、定時に必要量を供給するといった実需者ニーズに応えられていないことから、企業的な経営に至っていない事業体も散見されるところでございます。産地規模拡大や近隣の他産地や他の生産・加工グループとの連携による供給力の強化と品質の向上に努める必要があると認識いたしております。

 このため、今後は、一つには、経営戦略や新たな商品開発手法等を指導する6次産業化プランナーの活用、二つには、このたび創設いたしました農業版設備貸与制度を活用した野菜等園芸施設などの導入による効率な生産体系の確立、三つには、普及指導員の研修にマーケティングに係る分野を新たに加えまして、理論と商談を想定した実需者への実践的なプレゼンテーション等を通じ、普及指導員のコーディネート力やプロデュース力等の資質を高めていくことといたしております。

 これらの取組によりまして、6次産業化やブランド化につなげ、県下各地で生産者や地域農産物の個性を輝かせ、地域の活力創生に努めてまいりたいと考えております。ご支援よろしくお願い申し上げます。

 2 道徳教育について

(1)人権教育と道徳教育について

 小学校では2018年度、中学校では2019年度から特別の教科として位置づけられる「道徳の時間」について、質問をいたしたく思います。道徳の時間については、学習指導要領に示された内容について体系的な指導により学ぶという各教科と共通する側面がある一方で、学級担任が担当することが望ましいと考えられること、数値などによる評価はなじまないと考えられることなど、各教科にはない側面があることを踏まえ、「特別の教科」として位置づけられています。記述式とは言え評価をすることについては、相当に困難な作業になるだけでなく教員にとっても大きな負担となることと推察いたします。と言いますのも特別の教科である道徳を要として学校教育全体を通じて行うという要素があるからだと考えます。そこで理解を深めるために、事例として改めて人権教育と道徳教育の違いについて押さえておく必要があると考えます。

 兵庫教育大学准教授 淀澤勝治先生のレジュメを引用しますが、私は道徳教育とは、いじめや差別に関わって、いじめてしまったり、傍観者になってしまったりするといった「弱さ」「醜さ」が自分にもあることを、気付き・自覚し、葛藤もしながら自分の生き方を見直し、価値の内面的自覚を図り、心を耕し成長することだと考えています。

 一方、人権教育とは、人権尊重の精神の涵養を目的とした教育です。昨今、大きな問題となっているいじめについて、なぜいじめ・差別は起こるのか。どうすればいじめ・差別はなくなるのか。じっくりと考えさせる。いじめを受けた者のつらさ苦しさを理解させる。いじめ・差別の構造を理解させる。「いじめは許されない行為で絶対あってはならない」ということを理解させることだと考えています。言い方を変えれば、人権教育は人権尊重の精神を理解し、それが態度や行動となって現れるよう指導する教育であり、道徳教育は心の内面の変化・成長を見守る教育ではないかと考えます。

 そこで、人権教育と道徳教育の違いも踏まえた上で、道徳教育のあり方について、当局の考え方をお伺いいたします。

【答弁者:高井教育長】

 道徳教育は、一言で言いますと、自立した人間、一人の人間として人生を他者とともによりよく生きる人格を形成することを目指す教育であります。そのためには、日常の生活において生じます様々な人間同士の軋轢、あるいは郷土、国内外の先人の生き方等から、1つには、人が互いに尊重し、協働して社会を形作っていく上で、欠かせない共通して求められる規範意識を育むこと、2つには、その上で、人としてよりよく生きる上で大切なものは何か、自分はどう生きるべきかなど、時には悩み、葛藤もしながら、自らの生き方を考え、これを深め育んでいくことが重要と考えます。

 一方、人権教育は、過去・現在の様々な人権問題について、まず知識として学び、その上で、人間尊重の精神を涵養し、人権課題の解決に向け実践的に行動する力を身に付けさせる教育というふうに考えています。この両者、分野、アプローチは随分異なりますけれども、その根底にあるもの、1つには、他の人と共によりよく生きようとする態度、2つには、規範等を尊重して、自らの義務・責任を果たす態度、3つには、自他の権利や生命を尊重する感性と実践力など、つきつめて言いますと他者への思いやり、そして自尊感情、この2つがその基盤にあるという点で共通するものというふうに私は認識をしてございます。

 グローバル化の進展や、科学技術の発展、社会・経済の変化の中、社会の構成員一人一人が、高い倫理観をもって、人としての生き方、社会の在り方について、考え、他者と協働しながら、よりよい方向を目指して行動することがこれまで以上に重要となっています。こうした資質・能力の育成に向け、道徳教育の充実に取り組んでまいります。

 (2)道徳の教科化に向けた県教育委員会の認識について

 道徳教育は、先の質問でも確認したように、心の内面が人間的に変化・成長するものであり、同時にまた、多様な価値観が認められるものでなくてはなりません。

 教育評論家の尾木直樹法政大教授は、『教科化は一つの価値観を押し付ける。評価が導入されれば、子どもは本心を隠して迎合した発言しかしなくなる。教員はそれが分かっていても、発言を額面通りに受け取って評価せざるを得ない。子供は「先生は何もわかっていない」と不信感を持ち、関係性が崩れるだろう。道徳で大切なのは、多様な価値観の中で子供たちが自ら考え、自由な意見を言えることだ。』と述べられています。また、政治評論家の屋山太郎氏は、『道徳の教科化に賛成だ。「おはようございます」というあいさつや電車でお年寄りに席を譲るといった普通のしつけ、心の優しさを教えるのが道徳教育。子供たちの生活習慣も変わり、親も道徳を知らず、教える場がなくなっている。反対する人たちは、教科にすると右翼が育つと思っているが、道徳はイデオロギーではない。小さいころに教えれば、やさしい社会になる。他人に親切な日本社会を持続させるために必要だ。』と述べられています。

 特定の価値観の押し付けでなく、規範意識や思いやりの心豊かな人間性を育む道徳教育を目指すために何が必要なのか、学習指導要領改訂案が示されました。また、夏ごろには検定教科書作成や指導の目安になる要領解説をまとめるとされていますが、現時点における学習指導要領改訂案への対応、並びに県版副読本をどのように活用していくのか、当局のご所見をお伺いします。

 【答弁者:高井教育長】

 道徳の教科化では、検定教科書が導入されます。これが一番大きな変化でありますが、民間発行者の創意工夫を生かした充実した教材が用いられることを通じて、道徳教育の要となる道徳の授業について、指導内容の充実が図られるということ。また、もう一つの大きな変化は、指導要録の中に評価欄が設けられます。そのことで評価が充実をして、道徳の授業中の生徒の言動だけじゃなくて、学校内外での全ての活動において、教師が児童生徒の成長を見守り、努力を認めたり、励ましたりすることで、児童生徒が自分の成長を実感して、更に意欲的に取り組もうとするきっかけとなる。そういった評価が行われることが期待をされています。

 また、内容面に着目いたしますと、学習指導要領の一部改正案では、いじめの問題への対応、あるいは情報モラルなど、これまで必ずしも十分でなかった現代的な課題の扱いが充実をするということ、もう一つは、一方的に教えられるということだけじゃなくて、対話、討論など言語活動を重視した指導、問題解決的な学習を重視した指導などを柔軟に取り入れることなどが規定をされたところです。

 このような改正が生きたものとなるためには、教職員がこの改正の趣旨を十分理解していくことが大切でありますので、国の説明会や研修会への指導主事や教職員の派遣、管理職や道徳教育推進教師を対象とした研修を実施しますとともに、校内研修の活性化に取り組み、教員の指導力向上に努めてまいります。

 また、検定教科書が導入されると、これまでの副読本は要らなくなるのではないか、というふうな理解をされている方も多くいらっしゃるわけですが、文科省では、教科書だけでなく多様な教材の活用が重要としておりまして、その教材については、「人間尊重の精神にかなうもので、深く考えることができ、よりよく生きる喜び、勇気を与えられること」などが学習指導要領改正案に示されております。

 私どもの兵庫ゆかりの人物など地域の特性を生かした「兵庫版道徳教育副読本」は、まさにこうしたことを目指して作成した教材でありますので、今後も道徳の時間を始めとした学校での活用、家庭等での積極的な活用を促進して、子どもたちの豊かな心を育む道徳教育を一層充実してまいります。

 3 人口減少社会におけるふるさと意識を持った人材の育成について

 冒頭の質問で人口減少社会を生み出した要因について質問をいたしました。また、知事は今定例会の提案説明の中で、「人口の絶対数を増やすのは、相当長期的な課題として、人口の「自然増」と「社会増」の両面からアプローチしていかなければならないという認識のもと、人口の自然増対策については、出会いや結婚支援の充実を図り、だれもが子どもを産み育てられるよう、子育て支援や就業支援などを充実し、人口の社会増対策については若い世代の地域への定着を進めることが必要であるとして、やる気のある働き手が地域に根ざした仕事に就ける環境をつくり、「住みたい」と思える魅力と個性にあふれる地域を兵庫に増やしていかなければならない。」と述べられました。私は、結婚・子育て・就業環境の整備と若い世代の地域への定着「地域に愛着を感じる」意識の問題を述べられていると考えます。

 つまり、私は言い方を変えれば、人口減少社会を救うのは家庭、学校、地域における「人を育てる力」ではないかと考えています。知事の仰っている「ふるさと意識の醸成」もそうではないかと、知事がそのことを打ち出された時から色々なところで、そのことを話させていただきました。

 これまでは「世界的に活躍できる人づくり」あるいは、「大企業の一線で活躍できる人材の育成」等に偏重しすぎたのではないかと思います。もちろん世界の、大企業の一線で活躍する人材を育てることはそのとおりですが、晩年にはその経験を「郷土の発展に貢献したい・恩返しをしたい」と考えるような人材の育成、あるいは、家族や地域、郷土にこだわり、地域の発展や地域で活躍しようとする人材の育成など、多様な価値観が求められるのではないでしょうか。団塊世代が成人を迎えた昭和45年ごろまでは、いいか悪いかは別として長男あるいは誰かが家を継ぐとの考えがあり、そのために家から通える範囲で仕事を見つけてきたと思います。それでも、幸せな家庭を築き豊かな人生を送ってこられたのではないかと思います。

 人口減少社会を救う、国難を切り拓くには、家庭、学校、地域におけるふるさと意識を持った人を育てる力が必要ではないかと考えますが、当局のご所見をお伺いします。

 【答弁者:井戸知事】

 ふるさと意識を持った人材の育成が、これからの人口減少社会における対応の基本ではないかというご主旨のご質問をいただきました。私もそのとおりだと思っています。人口減少社会が継続する中で、地域の担い手として活躍が期待されるのは、地域に愛着と誇りを持ち、地域を良くしたいと願う“ふるさと意識”を持った人々ではないかと考えます。住んでいる地域を愛するからこそ、その地域の未来に夢や希望を持とうとされるのではないかと思います。

 昨年実施した県民意識調査によりますと、地域に愛着や誇りを感じるところは、生まれ育った所への愛着、例えば「山、海等の自然」「近所や友人との付き合い」「家族や親戚の存在」「町並や名所」が上位にあげられていました。また、住んでいる所、地域への愛着は、地域での活動への参加の関係に相関が高いという結果がでています。

 こうしたことから、ふるさと意識の醸成は、近所や家族のつながり、地域資源の再発見から生まれる「ふるさとへの想い」がまず1つの大きな柱。地域の一員としての「ふるさとへの関わり」が2つ目の大きな柱。これらが相互に影響しあい高められていくのではないかと考えます。

 このようなことを前提に、①家庭では「ひょうご家庭応援県民運動」等による家族のきずなづくり、②学校では「トライやる・ウィーク」や「高校生ふるさと貢献活動」等の体験教育、③地域では、地域づくりの活動を応援する事業や「県民交流広場事業」のように、身近な地域コミュニティの中での活動参加への取組、これらを支援していきたいと考えます。

 また、ふるさと意識を広げていくためには、若者や地域外の人の視点を取り入れることが重要だというご指摘、ふるさとの人材や資源をつないでいくことが重要だとのご指摘、これらは県民生活審議会における意見でありますが、これを踏まえ、地域内外の若者がチームで地域の魅力づくり等に取り組む「ふるさとづくり青年隊」などは、それに適した活動だと考えられます。つまり、多様な価値観や個性を生かす仕組みを用意するということです。また、「ふるさとひょうご創生塾」などの、地域の新しいリーダー養成に注力していきたいと考えています。

 さらに加えて、そこに生まれ育っただけではなく、住んでいる所に愛着を持っている人々、外から兵庫にみえた方々ですが、住んでいる所の未来に期待を持っていただく必要があります。兵庫を第2のふるさとにしてもらうことにより、初めて兵庫の未来に夢や希望を果せることができるのではないかと考えるからです。

 今後とも、兵庫人にこそ“ふるさと意識”を原動力に参画と協働の輪を広げて、活力ある兵庫の地域創生につないでいきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

2015年03月22日(日) | カテゴリー: 一般質問等 |

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