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2017 年 4 月 のアーカイブ

第335回平成29年2月定例会代表質問

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1.真の行財政構造改革について

 (1)人口減少社会における社会の担い手づくりについて

 最終2ヵ年行革の特別委員会での議論の中で明らかになったことは、社会保障関係費が増え続ける中で、地方一般財源総額が平成27年度と同水準に据え置かれても、平成30年の収支均衡については、財政運用を含めてめどは立った。しかし、平成31年度以降もこの状態が続けば、新たな財源を見つけるか、真の行財政構造改革を行うかであるということでした。

 それでは真の行財政構造改革とは何か。最終2ヵ年行革プランに対する意見開陳でも申し上げましたが、第一に、生産年齢人口の見直しを通じた社会の担い手の拡大です。地域創生戦略では、「団塊の世代が75歳以上となる2025年度以降、15~74歳を『拡大生産年齢人口』として、地域経済を含め広く地域づくり活動の担い手となるよう、その取組を進める」こととしています。また、高齢者問題の研究者でつくる日本老年学会でも、「高齢者を75歳以上に、65~74歳は准高齢者、現代人は10~20年前と比較し、加齢に伴う衰えが5~10年遅く『若返り』がみられる。65~74歳では活発に活動できる人が多数を占め、社会一般の意識としても高齢者とすることに否定的な意見が強い。その上で、高齢者の年齢を75歳以上に引き上げ、65~74歳は就労やボランティア活動ができるように後押しし、『社会の支え手』として捉えなおすべき。」としています。

私は、最終2ヵ年行革プランにおける老人医療費助成事業の廃止や県立施設高齢者減免要件の見直しなどはその考え方の一環であると捉えています。持続可能な行財政構造の構築には、健康寿命の延伸を進め、医療・介護費の大幅な削減を目指すとともに、さらなる参画と協働を進め、社会や行政の担い手を増やす施策の充実が必要不可欠と考えますが、ご所見をお伺いいたします。

 【答弁者】井戸知事

ご指摘のように、社会や地域と積極的に関わる意欲をもった元気な高齢者の存在が重要になります。

15~65歳未満の生産年齢人口をみると、2015年の335万人から2040年には268万人まで減少すると見込まれています。地域創生戦略で示しましたが、仮に生産年齢人口を75歳未満まで延ばせば、2040年でも341万人と現在を上回ることになります。平成27年の国勢調査では、本県の65~75歳未満の就業率は31.8%にのぼっています。人手不足が構造的課題となっている現状からみても、高齢者のさらなる就業を政策的に推し進めていくことが不可欠ではないでしょうか。

 このため、定年引上げ等に向けた国の施策に加えまして、本県でも、高齢者の就業機会の創出に向けて、各種事業を展開しています。県内34拠点で活動するシルバー人材センターの就労開拓等を支援しています。また、シニア起業家の事業の立上げや、コミュニティ・ビジネスの起業・就業支援を行っています。能力開発を通じた就業促進の取組としては、介護分野の資格取得ですとか就農技術の研修にも取り組んでいます。

 一方、ご指摘にもありましたが、地域づくりの担い手としての高齢者の活躍にも期待が寄せられます。地域活動に必要な知識等を学ぶ機会を提供する高齢者大学や、シニア世帯が子どもの見守りや一時預かり等を行う地域祖父母モデル事業に加えまして、来年度29年度から新たに、シニア世代が子育て世帯へのふるさと伝承事業を行う。また、地域住民が世代・性別を問わずに助け合いを行う地域相互見守りモデル事業(地域となり組事業)を推進することといたしております。これらは全て、高齢者の地域参画を促すことに繋がると考えています。

 高齢者の社会や地域での活躍は、高齢者自身の健康寿命を延伸させ、医療や介護等の社会保障費の削減にも繋がると言われています。元気な高齢者の社会参加を、雇用政策だけでなく、地域活性化、生きがい創造、健康づくりなど、様々な側面から総合的に推進して、人口減少下でも活力のある兵庫地域の実現に取り組んで参りますので、よろしくご指導ください。

 (2)人口減少を見据えた社会基盤・地域整備について

第二に、行革特別委員会では組織やハコモノの抜本的な見直しを主張してきました。例えば、(公財)兵庫丹波の森協会の丹波県民局との業務の一体化により、業務上はもとより、住民サービスの観点から効率化を図ること、また、地元による多額の運賃補助を必要としている但馬空港については、但馬地域への交通アクセスが格段に改善している中において、現実的な認識に沿った抜本的な見直しを行うべきことです。新西宮ヨットハーバー(株)についても、県はいつまで経営に関与を続けていくのでしょうか。収益性が求められる事業については、運営を民間に任せるべきです。これらの組織・ハコモノの見直しを本格的に進め、質的な改革を成し遂げなければなりません。

この様な基本的な認識の下、人口減少を見据えた基幹道路ネットワークの整備について質問します。本県では、従来からミッシングリング解消を目指し、国やネクスコ等関係機関と連携する中で道路整備に取り組んできました。もちろん、県土発展という観点からみるとミッシングリング解消に取り組むことは理解をして参りました。一方で人口減少に伴い交通需要も減少していくことが確実です。県としてもこれらの社会状況を前提に計画を見直す時期に来ています。従来の社会基盤整備プログラムは、成長経済を前提とした計画作りでありました。これからは、人口減少を前提に、新たな社会基盤・地域整備を考えるべきであると考えます。この度改めて「ひょうご基幹道路ネットワーク整備基本計画(仮称)」を策定するに当たり、人口減少や交通需要の減少をどのように評価し今後の計画に盛り込むのか、ご所見をお伺いします。

 【答弁者】井戸知事

人口減少を見据えた基幹道路ネットワークの整備についてのお尋ねがありました。基幹道路ネットワークは、社会経済・県民生活の基盤となるものであります。

例えば、①阪神高速湾岸線の整備を契機に、臨海部では大型物流施設が10年で約5割増加いたしています。今後の大阪湾岸道路西伸部の整備により、一層の地域産業の活性化が期待できます。②北近畿豊岡自動車道の延伸に伴い、但馬地域の観光入込客が約3割増えています。また、ある町では、山陰近畿自動車道を利用して、5つの小学校の生徒が年10回程度、スクールバスで集まり合同授業を行うなど、交流の拡大も進んでいます。③南海トラフ地震等による自然災害時には、救援活動や物資補給などを行うための緊急輸送道路としての役割も担うことになります。

ひょうご基幹道路ネットワーク整備基本計画の策定にあたっては、将来交通量とともに、これら基幹道路の幅広い役割も考慮し、検討を進める必要があります。また、今後策定する「兵庫2030年の展望」で描かれる「兵庫の将来像」の実現に向け、地域間連携のあり方なども想定し、概ね30年後を見据えた基幹道路ネットワークの姿を示してまいります。

なお、将来交通量の予測でありますけど、人口だけでなく、GDP等の経済情勢、免許保有率などの要素を考慮して算出することになります。直近の全国推計では、平成42年と17年の比較で、人口が概ね10%減少すると見込んでいますが、一方で交通量は3%の減少にとどまると見通しております。したがいまして、人口減少だけの要素では、交通量は決まらない、その辺も十分に踏まえる必要があると考えています。

今後とも、本格的な人口減少・少子高齢化社会においても、活力を保ち兵庫の元気を支える、基幹道路ネットワークの役割を求めてまいります。

なお、丹波の森協会が指定管理を担っております。丹波の森公苑は、丹波県民局職員が常駐しておりまして、県民運動、青少年健全育成、消費者行政などの業務を民間と一体的に行っております。

コウノトリ但馬空港については、今後、北近畿豊岡自動車道が豊岡まで延伸されましても、2時間かかりますから空路で40分で結んでいる効果は大きいのではないか。また更に、東京便などの就航を見通したときには、やはりその役割は十分果たしていくことになるのではないかと考えます。

新西宮ヨットハーバーは、「県民誰もが利用できるパークマリーナ」としての役割を果たしています。引き続き、単年度収支の黒字を維持しながらご指摘のように、今後の県関与のあり方についても検討してまいります。

 

(答弁後①)

基幹道路ネットワークの整備について、コメントだけさせていただきます。確

かに人口減少だけでなくて、色々な要素があるというふうに思います。ただ、私の質問の趣旨は、今後の31年以降の行財政を見た場合に、非常に厳しさが予想されますので、そういう意味で少しでも投資を有効に、投資をしていただくという観点で質問をさせていただきました。

 

(3)県政150周年記念事業等について

第三に、限られた財源の中での持続可能な行財政運営実現のために、スクラップの意味での既存施策の見直しだけではなく、ビルド部分、つまり新規施策展開時における優先順位の明示のほか、既存施策の方針転換を行う際の丁寧な説明が欠かせません。特に投資事業の実施にあたっては、将来にわたって維持管理費が発生するため、その判断には、より一層の慎重さが求められます。我が会派では、県政150周年記念事業や、小野市市場地区開発等の企業庁の施策展開について色々と指摘してきましたが、人口減少社会へ進む今だからこそ、ビルド部分に関する意識改革をさらに進めるべきです。

100周年記念事業は、戦後復興から高度成長への時代でありました。そして未来への兵庫県民の希望の象徴として、県民会館、芸術文化協会、こども病院が建設・設立されました。現在、あるいはこれからは、低成長・人口減少社会、経済の縮小社会であります。この厳しい社会情勢の中で、150周年記念事業は、ひょうごの未来に向けて県民の気持ちを一つにする事業を行うべきであります。そのためにも、シンボル的な施設ではなく、五国、県民局単位、あるいは各部局でそれぞれにおいてソフト事業を中心に展開すべきであると考えます。例えば、先日も「めざせ歴史遺産 銀の馬車道 鉱石の道」フォーラムが3市3町の住民の総決起で開催されましたが、播磨・但馬の150周年事業として展開するなど考えられます。部局の1例では、県立高校で考える県政150周年記念事業などもなかなかなものと考えます。当局のご所見をお伺いします。

 

【答弁者】井戸知事

 県政150周年は、現在の社会全体に漂う閉塞感とか不透明感を打破し、兵庫の未来を切り拓く新たな一歩を県民とともに踏み出す契機にしたいと考えます。このため、実現すべき兵庫の姿を「2030年の展望」として明らかにし、県民と共有するとともに、その実現に向けた取組を記念事業としても展開してまいります。

 記念事業の基本方針や事業計画は、地域夢会議や県民モニター調査などを通じて幅広い県民の意見を収集しながら、有識者等からなる企画委員会で議論した上で、とりまとめてまいります。具体的な事業については、ご指摘の銀の馬車道など各地域の歴史・文化資源を活用したイベントやさまざまな地域づくり活動のほか、阪神・淡路大震災からの復興やふるさと学習など各部局の取組を継承・発展させる施策を盛り込みたいと考えます。また、県庁発祥の地などの地域資源を活用しながら、県民に兵庫の歴史を伝え、交流人口の拡大や地域の活性化に資する事業を検討してまいります。

 記念事業を幅広い世代の県民との協働により展開していくためには、県民や地域団体、NPO等が記念事業のコンセプトに沿って自主的に行うイベント活動を展開していただく必要があります。このような活動に対して、県として助成をしていきたいと考えます。特に若い世代に向けては、小学生の作文・図画コンクール、中学生向けのマンガ「ひょうごの歴史」の作成、県立高等学校での全校での兵庫の未来を考察する取組などを行ってまいります。

 兵庫の未来は県民とともに創り上げるものであります。県政150周年の節目に、兵庫の向かうべき方向を考え、県民誰もが誇りと愛着を持つことができる兵庫づくりにともに取り組んでまいりますので、どうぞ宜しくお願い致します。

 

2.地域創生の真髄について

 平成27年4月1日に施行の兵庫県地域創生推進条例に基づき地域創生戦略大綱が策定されて、2020年までの目標として9つの基本目標と70の施策の全県対策、さらに各県民局・センターでの地域別対策が策定されています。また、各市町においても総合戦略が策定されています。その総合戦略策定に当たっては、それぞれ総合戦略会議が開催されています。さらに兵庫県では、地域創生アクションプランが策定され、戦略の3本柱である「自然増対策」「社会増対策」「地域の元気づくり」ごとに、平成31年度までの年次目標値の達成状況を明確にするため、9つの基本目標のもとに設定した70の施策ごとに、成果指標である「総括KPI」を設定するとともに、平成28年度当初予算及び平成27年度補正予算(緊急経済対策等)の中から、70の施策の「総括KPI」を達成するために必要な主な事業について、取組指標を設定されています。また、「地域創生」トップフォーラムが、平成28年2月16日にラッセホールで開催、県地域創生NEWSレターの発行、地域創生リーフレットの作成などの取組を進められています。

 県民・市民との協働による戦略大綱の策定、アクションプランによる成果目標の設定、各種広報・啓発活動と精力的に進められています。戦略大綱などの計画づくりやアクションプランは、素晴らしい中身・出来栄えになっていると思います。

知事は新年交礼会の中で、計画づくりよりも、県民が夢や希望を感じるビジョンを示すことが大事であると仰っていました。また、以前からふるさと意識の醸成を仰っています。私は神河町の戦略会議に参加をさせて頂きましたが、どうしても戦略大綱の策定にタイムリミットがあるため、やはり計画づくりに終わっていたのではないかと思います。これまでも、地域の協働社会づくりを進めるチャンスは、市町村合併、スポーツクラブ21事業、県民交流広場事業、地域の夢推進事業などがありましたが、合併特例債や補助金獲得のための計画づくりに終わったのではないかと思います。地域創生は、これからの県民・住民の協働作業で地域を考え作っていく最後のチャンスだと考えます。 

私は、人口減少、東京一極集中になった根本的な原因は、経済活動にあると考えます。その自由主義経済の中で、この現状を変えるためには、私たちの価値観を問い直すことが必要ではないでしょうか。自由主義経済の下での物資的豊かさだけではなく、地域循環型経済を確立して、自然環境の豊かさや自然の恵みでの生産活動、これらをベースにした起業、牧歌的な地域コミュニティ、新たな農村コミュニティを創造することではないでしょうか。都会も田舎も県民・住民の協働で、人と人がつながり、命と絆を大切にした人間社会を再構築することではないでしょうか。ご所見をお伺いします。 

 

【答弁者】井戸知事

 地域創生とは、人口減少下でも、地域が活力を持って自立し、地域社会での支え合いやふるさとへの愛着に立脚した生活と心の豊かさを実現することに繋がると考えています。

 地域創生戦略でも、「2060年の兵庫の姿」として、地域に根ざした地場産業、農林水産業、生活支援産業が、人々の暮らしを支え、地域経済を循環させる。これとともに、絆によって共に支え合う価値観が広がり、様々な縁でつながる社会が形成される姿を、描いています。

 そして戦略では、起業・創業や商品開発、異業種交流、集落再生などをめぐる地域での新たな主体的な取組を後押しして、地域での循環型経済の構築を促進することとしています。青少年を対象とした地域での社会体験、自然体験の機会提供や地域づくりのリーダー養成などを通じて、絆の形成やふるさと意識の醸成を積極的に進めようとしています。これらの取組は効果の発現に時間がかかるかもしれませんが、主体的、持続的な地域づくりを実現していくうえでは不可欠なものだと認識しています。

 他方、東京一極集中のゆがみを是正し、加速化する人口減少に歯止めをかける対策も必要です。東京に続き神戸市内に昨日ですが、カムバックひょうごセンターを開設しました。大学生の県内就職支援や既卒者・UJIターン者の流入促進などに取り組む「ひょうごで働こう!プロジェクト」を推進して参ります。流入増加・流出抑制を図って参ります。

 2020年までの戦略期間における社会増対策などの喫緊の課題への対応と、地域経済の活性化や絆の再生等、中長期的な取組を車の両輪のように推進することで、持続的な経済基盤の構築と地域社会の確立とを図り、地域創生の最終目標である地域の自立を確かなものとして参りますので、これからもよろしくご指導ください。

 

3.県立大学の今後の目指す大学像と経営について

 法人移行3年が経過して、組織及び業務全般にわたる検証の実施が行われています。その中で理事長と学長の一体型でも、「メリットである機動性を発揮して、概ね計画に即した成果を挙げたものと評価できる」とされています。ただし、大学改革(教育・組織・ガバナンス)については、「国による様々な改革が矢継ぎ早に打ち出されていることから、特に教育面を中心に取組の加速化が必要である。」とされています。さらに、「3年間の取り組み、残された課題を踏まえると、多様な学部・研究科等を有する分散型キャンパスという本学の特性により、他大学よりマネージメントが難しい要因となって、理事長兼学長が、経営・教学両面にわたる重要課題のすべてに十分なリーダーシップを発揮することは困難であったことは否めない。」とされています。そして、平成29年度から、理事長と学長の分離型への移行となっています。

 神戸商科大学・姫路工業大学・看護大学のOBの皆さんからは、兵庫県立大学に移行してからは、一体化することによって旧大学の良さが埋没するだけでなく、知名度も下がっているのではないかとの声を聞いています。

それは一流企業への就職状況にも表れています。週刊ダイアモンド2014.10.18号では、関西地元17社(積水ハウス、大和ハウス、武田薬品工業、神戸製鋼所、京セラ、シャープ、日本電産、パナソニック、村田製作所、ダイキン工業、川崎重工業、京都銀行、近畿日本鉄道、NTT西日本、JR西日本、関西電力、大阪ガス)の就職者数は関西の大学で20位です。また、地元16社(積水ハウス、大和ハウス、武田薬品工業、神戸製鋼所、京セラ、シャープ、日本電産、パナソニック、村田製作所、ダイキン工業、川崎重工業、京都銀行、近畿日本鉄道、JR西日本、関西電力、大阪ガス)の役員数では5位です。このことは、旧大学時代には地元関西の大手企業に多くが就職するだけでなく多くの役員を生み出したと言うことです。近年多くの公立大学が誕生していますが、兵庫県立大学も、企業の人事には新設校と思われているのではないでしょうか。一方、日経グローカル2014.12.1号の全国の地域貢献度ランキングでは、2012年55位、2013年26位、総合順位12位と上位に位置しています。

そこで、兵庫県立大学として目指す大学像と、その経営方針について伺います。

 【答弁者】井戸知事

 県立大学は、学際的な取組、地域との協働、産学の連携の推進など、学生や地域にとって魅力ある大学づくりを目指して、平成16年度に旧三大学を統合しました。また自主的改革を目指して、25年度には独立行政法人に移行したものです。この間、まず、教育面では、グローバル教育プログラムや防災教育ユニットなどによる科目の充実を図っております。あわせて、会計研究科や地域資源マネジメント研究科等の大学院の開設をいたしました。2つに、研究面では、次世代水素触媒共同研究センターや周産期ケア研究センターを開設して充実を図りました。3つに、社会貢献面では、先端医工学研究センターを核とした医産学連携の推進や、県内五国を活動フィールドとする地の拠点整備事業、COC事業等による地域創生推進などに取り組んでいます。

 こうした成果として、就職率は景気動向に関わらず、統合前、平成15年の96.2%とほぼ同水準で推移し、27年度は統合後最高となる98.2%となっています。偏差値も、統合直後に一旦下がったのですが、その後回復し、経済、経営学部など統合前を上回る学部も出てまいりました。例えば、平成15年の商科大学時代、55でありましたが、平成26年は経済58、経営59との水準でございます。

 企業人事担当者の大学イメージランキングを見てみますと、関西各私立を抑えて全国15位になっています。就職支援に熱心な大学ランキングでは全国7位、更に地域貢献度ランキングも全国3位と、統合から10年以上が経過して、県立大学の認知度や評価は全国的に高まってきているのではないかとも言えると思います。

 しかし、今後18歳人口が更に減少していくわけであります。大学間競争に勝ち、選ばれる大学になるためには、中期計画に基づく大学改革を加速化させる必要があります。まずは経済、経営学部の再編、これを行う必要があります。環境人間学部のコースの再編も行ってまいらねばなりません。情報系大学院の統合も視野に入れております。このため、この4月から理事長と学長を分離し、理事長は法人経営に、学長が教学に専念し、それぞれが連携しながらリーダーシップを発揮し、責任と職務を全うする体制へ移行させていただきます。

 今後とも、旧三大学の伝統と総合大学としての強みを生かしながら、教育、研究、社会貢献の各分野において個性、特色豊かな大学となるように、県も積極的に支援してまいります。特に来年度からは、学長と理事長を分離した責任体制の遂行にあたりますので、成果を期待したいと考えております。

4.働き方改革について

 働き方改革、1億総活躍社会の創造が議論されていますが、兵庫における現状はどうなっているのか。兵庫県が率先して進めることが行政としての使命と考えます。次の2点についてお伺いします。

 (1)時間外労働の現状と規制について(企画県民)

 第一は、時間外労働の現状と規制についてであります。電通高橋まつりさんの過労自殺で、改めて長時間労働の実態が明らかになり、残業上限・罰則導入の議論がされています。労働基準法では労働時間を1日8時間、週40時間までと規定しており、企業は労働者に残業をさせるには労使が合意して協定(36協定)を結ぶ必要があります。厚生労働省は36協定の残業を月45時間、年間360時間までとしていますが、労使で合意すればこれを上回ることが可能となっており、上限に取り決めはありません。事実上青天井となっています。厚生労働省は、脳・心疾患を労災認定する基準を、発症前1か月におおむね100時間の残業があったことを目安の一つとしており、「過労死ライン」と呼ばれています。80時間を下回る残業でも過労死と認定される場合もあります。

 兵庫県では、36協定の残業を月45時間、年間360時間、特別な場合月100時間としておりますが、平成27年10月17日の決算特別委員会での竹内英明議員の質問に対して、人事課長から、 「平成26年度の職員の勤務時間については、知事部局の対象人数が約5,400人である。総時間数が82万時間、手当の支給実績については24億円となっている。また、お尋ねの年間1,000時間を超えて超過勤務をした職員であるが、これは人数で18人である。上位ベスト3ということであるが、最も超過勤務時間の多かった職員は、年間1,422時間、手当額にして約370万円を支給している。2番目に多い職員は、年間1,186時間で約430万円。3番目に多い職員は、年間1,167時間で約320万円というふうになっている。」との答弁がありました。また、行革特別委員会の議論の中では、時間外勤務時間が年間360時間を超える職員は約550人ことでした。実に1割の職員であります。

 ある民間企業の商品の発送作業では、包装のビニール袋を机の下から机の横にセットすることで1工程9秒の短縮を行い、1日200工程で30分の時間短縮を可能にした取り組み、また、ありとあらゆる工程の見直しで時間短縮と生産性の向上を果たしたという報道がされていました。行政と民間の労働実態は異なりますが、工夫をすれば時間短縮を生み出すことが可能ではないでしょうか。

そこで、県職員の労働実態をどのように考えておられるのか。また、具体的に時間外労働を減らす方策を考えているのかお尋ねします。

【答弁者:荒木副知事】

県民の要請に応える県政を進めるためには、職員が健康に働くことが重要である。その一つとして、超過勤務の縮減に取り組んでいる。

これまで、組織、事務事業の見直し、総務事務システム等のICTの活用、タブレットを活用したモバイルワークの導入など、業務の効率化、事務改善に取り組んできた。

こうした取り組みにより、知事部局における職員1人当たりの1ヶ月の平均超過勤務時間は、3割の定員を削減する中でも、約12時間、年間に直すと約140時間で、ここ数年、ほぼ横ばいに推移している。

しかし、災害の復旧復興業務、予算編成、人事異動などの内部管理事務を担う部署では、業務が一時に集中することから、長時間の超過勤務が発生している。その是正が課題である。

このため、県において、超過勤務の縮減に関する規則を制定し、改めて県独自の上限目標を設定していく。そして全ての課・事務所で超過勤務の実態や要因を点検し、①適切な労働時間の管理、②業務量の縮減・仕事の進め方の見直し、③タイムマネジメントに対する職員の意識改革に取り組んでいく。超過勤務が長時間発生している部署については、特定の時期や個人に集中している業務を改善していく。総合的に取り組んでいく。

 (上野議員)

3割職員が減った中でも平均の時間が月12時間ということで、少ないということだが、実はサービス残業も大分あるのではないかというのを心配している。サービス残業にならない職場の雰囲気づくりも含めて、実効ある長時間残業の縮減に取り組んでいただきたい。

(2)育児・介護休暇について

育児・介護休暇の取得についてでありますが、これも民間の取り組み事例ですが、遅刻、中抜け、早退を30分単位で取得可能にしたところ、こどもの送り迎えや親の介護の対応に対してイライラすることがなくなり、仕事に集中できるようになり生産性が向上したということです。育児・介護と仕事の両立支援は、大企業を中心に制度の普及が進んでいます。しかし、職場が休暇を取りにくい雰囲気であったり、実情に合った制度になっていない等の理由で、制度があっても充分活用できているとは言いがたい状況が多々見受けられます。県職員規定では、有給休暇、特別休暇、無給による育児・介護休暇が1日、半日または1時間単位で取得できますがテレワークも含めて、職員のその取得状況、制度に対する満足度、事務作業の効率などの効果をどのように分析しているか。また、改善すべき点などはないのか、ご所見をお伺いします。

 【答弁者:荒木副知事】

 子育て・介護等、職員の生活事情に配慮した勤務ができるよう、他府県に先行して平成27年8月から在宅勤務を実施しました。この1月時点で19人、延べ169回の利用がございます。また、28年5月からはフレックスタイム制を導入しました。同じように1月時点におきまして、24人の職員が利用しております。さらに、この29年1月には、育児休業等の対象となる子どもの範囲の拡大、最長3年間取得できる介護時間を設定するなど、休暇・休業制度の充実を図っています。

 その取組みを推進するために、「男女共同参画兵庫県率先行動計画」の中で、育児にかかる休暇・休業の取得率を数値目標として定めています。

 制度の充実に加え、利用の促進が必要です。そのため、制度の周知徹底、職員の意見を踏まえた運用の改善、さらには職員が気兼ねなく制度を利用できる職場づくりを進めてまいります。具体的には、利用の手引き等による普及の啓発、研修等を通じた管理職の意識改革、さらに今年度からは、男性職員と所属長が育児に関する休暇支援制度の取得計画について面談を行う「子育てサポートミーティング」を実施しています。新たな取組みも開始したところです。

 こうした取り組みを通じて、働きやすい職場風土の形成に努めてまいります。

5.本県におけるキャリア教育について

 子供の貧困と奨学金問題、学ぶことの保障が活発に議論され、いよいよ給付型奨学金の創設も始まります。私たちは、貧しくても勉強して社会に貢献したいと考える意欲を持った若者達を、是非とも応援したいと考えています。

 人間にとって進路を決めることは大変重要なことであります。それは幼稚園・小学校のお受験に始まり、中・高・大学受験と続きます。さらに、社会参加、この世界・日本の社会の中で自分は何を成すべきかと続きます。特に、中学から高校、高校から大学へは、人生にとって特に大切な進路選択の準備期間となります。

 過去においては、貧しいから中学あるいは高校を卒業し就職をして、夜間・通信教育で高校・大学へ通う苦学生がたくさんいました。また、中学から高校の選択において工業・商業科等の職業科の選択も非常に難しいことであります。中には「僕は勉強苦手やから職業科を選んで大学には行かず就職します。」という方もいました。

 私は、自分の進路を自分で決めることができる教育と進路指導が重要と考えます。現行学習指導要領の理念、「確かな学力」と「生きる力」を養い、「豊かな心」と「健やかな体を」育むの「生きる力」です。そのために職業観にとどまらず人生観を養うキャリア教育が重要と考えます。さらに、これからだと思いますが、アクティブラーニングによる授業への移行が必要であると考えます。教育長のご所見をお伺いします。

 【答弁者:高井教育長】

 社会や産業の構造が激しく変化をして、将来の予測が困難な世の中に対応するためには、生徒自身が、自分の人生に一定の見通しや目標を持って、その実現に向かって個性や能力を生かして学びを深めることが大切です。中学校や高校における進路指導におきましても、生徒自らの意志と責任で、人生観とまではいかないかもしれませんが、一定の将来像の上に、主体的に進路を選択し、自分らしい生き方を実現しようとする視点が重要でございます。

中学校におきましては、安易に試験の点数だけで行ける学校を選択するというのではなく、高校の行いますオープン・ハイスクールや学校説明会等を通して得た情報などを元に主体的に進路選択を行うよう、各学年において計画的な指導に努めているところです。また、高校進学後においても進路選択の可能性が広げられますように、近年、普通科目と専門科目の両方を学べる総合学科を県下に15校設置をしております。また、かつては専門学科へ行くと基本的には就職というのが一般的でしたが、今日では、工業、商業などの専門学科の生徒の約44%が大学や専門学校などに進学しておりまして、高校進学後にも様々な生き方を学んだり、多様な進路選択が可能となっているところです。

小・中・高の各学校では、児童生徒のキャリア形成を支援するため、自分の成長を振り返ったり、将来の生き方について考えたりする学習に、度々答弁に使わせてもらってますが、キャリアノートを使っておりますが、その際に議員ご指摘の通り、そうした学びがより深まりますように、あらかじめ自分で考えたことを生徒間で意見交換をしたり、議論したりすることで、新たな考え方に気付いたり、あるいは、様々な事象の中から課題を見つけ出して、その解決方法を集団で探究していくといったような、いわゆるアクティブ・ラーニングの視点を今後さらに取り入れてまいりたいと考えております。また、トライやる・ウィークをはじめ、各種の体験活動と各教科の学習とをキャリア形成の視点から体系的に結びつけて、学校の教育活動全体を通じて行うキャリア教育の実践研究も今年行っていきたいと考えています。

今後とも、生徒が長期的な展望を持った進路選択を行い、自分らしい生き方を実現できますよう支援してまいります。

 6.災害時のスムーズな交通確保を見据えた県警の取り組みについて

 昨年、4月には熊本県で震度7の大地震、10月には鳥取県で震度6弱、11月には、東北地方で再度マグニチュード7.4の地震に見舞われました。

 本県においても、南海トラフ地震が今後近いうちに高い確率で発生すると言われています。また、地球温暖化・異常気象による豪雨被害や豪雪被害などが多発をしています。

 大規模災害が発生した場合、発災後72時間を境に生存率が大きく低下すると言われており、救出・救援活動は、まさに時間との闘いであります。災害応急対策を的確かつ円滑に実施するためには、人命救助や緊急支援物資の搬送等に従事する車両が速やかに被災地へ入ることが肝要であり、こうした車両の通行を確保するため、災害対策基本法では、一般車両の通行禁止・制限を交通管理者である公安員会が路線と区間を緊急交通路して指定することが規定されています。

本県においても、阪神地域16路線、但馬・丹波地域9路線、東・西播地域22路線、淡路地域2路線が緊急交通道路に事前指定されています。熊本県では風水害などの広域災害を想定した計画は立てられていましたが、直下型地震の想定はしておらず、各地で混乱が生じたと報道されています。また、大規模災害時には、停電による信号機の減灯等により車両事故が増加する傾向が東日本、熊本でも確認されており、救援活動の障害となっています。

これらに対して緊急交通路を指定するときには、災害の発生場所や規模等に応じた適切な路線を迅速に指定することが求められます。

県警察においては、災害発生時の停電等に備えた信号機の整備を順次進めていると聞きますが、財制的な面においてその整備は十分に進んでいないのではと危惧をするところです。

そこでその整備状況と、災害発生時における交通規制対策にどのように取組を進まれているのか、ご所見をお伺いします。

2017年04月21日(金) カテゴリー: 一般質問等, 未分類 | コメントはまだありません »


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