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2010年3月 予算特別委員会 質問・答弁(全文)

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【質問一覧】
<財政>
1 県民に対する財政状況の説明について
2 財政状況の基本的認識と持続可能な財政構造について
(1)本県の財政状況の認識について
(2)平成21年度の収支見込みと財政フレームについて
(3)基金管理と適正な事業執行について
 <1> 基金積立等のルールについて
 <2> 適正な事業執行について
(4)基準財政需要額と事業費の比較について
3 選択と集中について
4 歳入確保・歳出削減の努力について
(1)県税収入の確保について
(2)県民緑税の延長について
(3)未利用地の売却状況について
(4)県民参加の各種ボランティアによる労務提供等による歳出削減の取り組みについて 

<企画県民部①>
1 地域再生大作戦について
 (1)小規模集落元気作戦の今年度の成果について
 (2)今後の展開について
2 県民の参画と協働の推進について

<病院局>
1 県立病院12病院の役割について
 (1)県立病院の役割について
 (2)政策医療の提供が経営に与える影響について
2 県立病院改革収支フレームについて
3 一般会計からの繰入金について
4 減価償却費について

<教育委員会>
1 実効ある「ひょうご教育創造プラン」の推進について
 (1)子どもたちへの認識について
 (2)「生きる力」について
 (3)魅力ある学校づくりの推進について
 (4)道徳教育について
 (5)人権教育について
 (6)食育・米飯給食の推進について

全文

<財政>
 民主党・県民連合議員団の上野ひでかずです。
 大変厳しい財政状況のもと、

あるいは新行革プランに追い打ちをかけるような2年続きの経済不況に伴う税収減の中で、知事・幹部職員をはじめ全職員賃金カットを行いながら、県民生活向上のためにご尽力いただいていることに、敬意と感謝を申し上げます。

1.県民に対する財政状況の説明について
 この点については、通告しておりましたが、先程、松本委員からの質問もあり、重複しますので、答弁は求めませんが、要望という形で発言させていただきたいと思います。
さて、平成22年度予算の知事提案を受け、厳しい財政状況の中でも県民の負託に応えるべく全分野にわたりきめ細かい対応がなされていると感じました。その反面、総花的とも言える知事の予算提案を聞いて、県民からみれば「兵庫県財政 全国ワースト2位と聞いているが本当に苦しいんですか?」というような声が聞こえてきそうな気がします。もちろん、厳しいときだからこそ前向きに未来に向かって進むということは大切だと思いますが、県民と一緒に苦しみを分かち合いながら、また県民に参画し助けてもらうことも大切だと思います。
そこで、現在の厳しい財政状況について、県民にわかりやすく説明し、財政改善に向けた取り組みへの協力をお願いする、という姿勢がより一層強く求められていると思いますので、強く要望させていただき、質問にうつります。

2.財政状況の基本的認識と持続可能な財政構造について
 質問するに当たり当初予算の説明資料を見ますと、かなり詳しく整理されており「みれば分かるだろう」といわれそうで逆に質問しにくくなったように思います。財政当局の資料づくり、ご努力に敬意を表します。が、平成22年度当初予算発表資料の18P 県債残高の数字、20・21P プライバリーバランスの数値について、今定例会に提案された新行改プランの財政フレームの変更後の数値との整合性がとれてない部分があるとのではないかとも思います。また、昨年の委員会の議事録をみますと、主に収支見込み、新行革プランの財政フレームの見込みと修正、要調整額、とりわけ収入見込みについてもっと厳しい姿勢で臨んでいただきたい等々の内容で、これもかなり詳しく議論されていました。
 そこで、私は少し視点を変えて、あるいは県民にとって分かり易い内容で財政状況等の基本的な認識について、お尋ねいたします。

(1)本県の財政状況の認識について
【質問】
まず、厳しいといわれる本県の財政状況の認識についてであります。
 本県財政が厳しい原因として、枕詞のように「震災復興」といわれますが果たしてその認識だけでよいのでしょうか。
 基本的に自治体の財政は、既にご承知のとおり、税収等に地方交付税が措置をされ、日本のどこにおいても基本的な行政サービスを行うことができるようになっています。その必要な財源が、基準財政需要額です。地方交付税は、その基準財政需要額から標準県税収入の75%の基準財政収入額を差し引いたものであり、標準県税収入の25%が内部留保金であります。その25%の内部留保金が、自由に独自の施策等を行えることになります。その範囲内で予算執行をしていれば、基本的には財政赤字とはなりません。
 私は赤字、それ以上の財政出動をするものに、疫病を含む災害対策事業、世代間負担をともなう先行投資事業、不況時における経済・雇用対策事業があると思います。
 本県の場合は、先行投資事業等で殆ど伸びきろうとしていたゴムの状態に、震災復旧事業が重なりゴムが伸びきった状態になっている状況だと思います。それが、平成21年度末で先行投資分約2兆6,368億円、震災分7,605億円、計3兆3,973億円の県債(借金)残高、臨時財政対策債等を加えると3兆6,210億円、実質公債費比率はそれぞれ16.1%、7%、計23.1%、将来負担比率は388.3%となっていると理解いたします。そして新行革プランにより平成30年度には県債(借金)残高を2兆9,900億円、実質公債比率を18%にしようとするものだと思います。それでも将来負担比率は、282.2%です。財政健全化団体指定は、実質公債費比率25%、将来負担比率は400%ですから指標からは全然問題ないわけですが、常に持続可能な財政構造と考えた場合、世代間負担をともなう先行投資事業を考慮して、私は、もう少し低い数字、例えば、国の指標の半分程度、実質公債費比率で12.5%、将来負担比率で200%程度を目標として、改善のスピードを早める取り組みを行うべきではないかと考えますが、ご所見を伺います。

【答弁】
本県は、阪神・淡路大震災の復旧・復興のため、平成6年度一般会計当初予算1兆6千億円の約1.5倍の規模となる、2兆3千億円にのぼる負担を余儀なくされた。その財源として、6年度末の一般会計における起債残高、1.26兆円に匹敵する1兆3千億円の起債や約4千億円の県債管理基金をさらに追加で活用しなくてはならなかったことが財政悪化の原因である。それだけ阪神・淡路大震災の痛手は大きかったと思っている。
 ご質問の財政健全化指標の水準については、ご指摘の実質公債費比率12.5%、将来負担比率200%という数字は、まさに平成20年度決算の全国都道府県の平均水準であるので、何もなければそれを目安に財政運営を行っていくことも考えられると思う。しかしながら、震災の影響で他府県にない負担を一定負っているので、それにめがけて改革を進めていくことになりますと、今以上の県民負担、痛みというものが伴ってくるので、簡単な判断でそのような指標がいいかということは決めがたいところがあると思います。
今後、3年目の総点検があるので、どのような水準で財政運営を行っていくかということについても、総点検の中で考えていくことかなと思っています。

(井戸知事や現財政当局には、大変気の毒とは思います。やはり、知事としては県民の福祉の向上に筒一杯財政出動し、県民の期待に応えたいと考えるのが当然だと思いますが、今までの借金の返済も含めて、本当の意味での持続可能な財政構造に取り組んでいただきたいとお願いいたします。)

(2)平成21年度の収支見込みと財政フレームについて
 【質問】
今年は県税収入の落ち込みがあったものの、新政権による総額1兆円の交付税の増額と人事委員会報告による人件費の切り下げにより、5月補正による緊急的な有効需要の創出や9月補正、台風9号災害に係る緊急対策等々、当初予算比1,047億円の歳出増を行っても1,367億円の歳入増があり差引320億円の収支改善が図られました。
しかし、平成22年度当初予算を踏まえた見直し後の財政フレームでは、平成30年度で実質公債費比率、将来負担比率、県債発行残高、県債管理基金残高、県債管理基金積立不足率等々の財政指標は、ほぼ財政フレームにそった内容となっていますが、歳出総額は23兆1,445億円となっており、旧フレームから、人件費で330億円減、公債費で1,110億円増、県税交付金で840億円減、行政経費で1兆3,883億円増(うち特定財源が1兆1,178億円)、投資的経費で274億円増、新規事業財源で30億円減、歳出総額で1兆3,947億円増えています。
歳出総額、とりわけ行政経費の増の主たる要因は、中小企業制度資金貸付金及び国の経済対策に関連して設置した基金事業だと思われますが、財源が国庫支出金又は特定財源で、収支への直接の影響はないことは理解するものの、財政フレームの歳出規模がこれだけ増大することは問題なのではないか、また、あくまでも現下の経済状況を踏まえた緊急的な対策であることからすれば、後年度も高水準で推移することはあり得ないのではないかと考えますが、歳出総額が変更になっているそれぞれの根拠、とりわけ行政経費の増額の根拠について伺います。

【答弁】
今回の財政フレームの変更については、原則として、平成22年度当初予算に基づき将来推計を置き直したものである。
 個々の歳出の増減要因については、①人件費が、平成21年度の人事委員会勧告に基づき期末手当を減額したこと等による減。②税交付金が、連動する県税収入の減による減。③公債費については、全額交付金措置がされるものの、臨時財政対策債や減収補てん債の新たに発行したことによる償還金などによる増。④投資的経費が、経済・雇用対策としての事業の前倒しや、災害復旧関連事業による増、である。
 行政経費については、非常に多く増えているが、平成22年度当初予算において、まず、主なものは中小企業制度融資貸付枠を拡大させていただいている。単年度の事業でなく、7~10年間融資期間があるので、その間は当然県として預託を行わなくてはならないので、一定期間、融資目標額を増やすと、預託金を増える期間が長くなってくるので、結果として単年度では平成22年度600億円しか増えないが、その影響が数年間にわたるので、平成30年度まで見ると8,000億円近い預託層になってくる。
また、国の経済対策等にかかる基金事業等の特定財源による事業が増加したこと、後期高齢者医療費県費負担金や介護給付費県費負担金などの福祉関係経費の大幅な増加、平成22年度で73億円増えているが、今後も伸びていくので30年度までで見ると700億円近い増となる。
また、新たに国で制度化された私立高校等就学支援事業の創設は、国庫であるが県を通じて支払いをすることになっているので、単年度で57億円、30年度まで見ても513億円の増となっていることなどから、行政経費の増額となったものである。

(そもそも新行革プランは向こう10年間で約1兆2千億円の収支不足が生じることから始まったのではないかと思います。そういう中での、歳出総額1兆3千億円もの増額の変更を行うことは、しっかりと説明しないとなかなか理解が得られないのではと思います。財源措置があるからといってそのまま歳出を増やすのではなく、しっかりと歳出削減努力に取り組むことと変更に関する説明責任を果たすこと、この2点を要望しておきます。)

(3)基金管理と適正な事業執行について
 ①基金積立等のルールについて
 まず、基金管理のことについても通告していたのですが、(事前に確認できましたので、)時間の関係もございますので、省略しまして、第2の適正な事業執行についての質問を行います。

②適正な事業執行について
【質問】
 補正予算での淡路市の県有環境林の購入について、地域活性化事業債など有利な資金を使うことには十分に理解をするところですが、県有環境林の用地について、行政財産の取得、適正な事業執行という点において、帳簿価格での購入については問題があるのではないかと思います。また、補正予算は認めたところであるが、帳簿価格で購入したとしても、その時々に帳簿価格と時価価格との比較等を行い、購入時の理由と購入先、含み損の確認を行うことで、今後の事業執行に当たってより厳しく事業執行を行うことにつながるのではと考えるが所見を伺います。

【答弁】
 先行取得用地については、用地取得を依頼した県が公社から簿価で買い取る契約となっている。
 そもそも先行取得用地は、高速道路網等の整備周辺地域の乱開発や無秩序なゴルフ場開発等の抑制を図り、良好な地域環境の保全等に寄与するため、県自らが公的な活用を図ることを目的とした先行取得依頼をしているものである。これらは、売却を前提としていないことから、時価評価になじまないものであるので、簿価で買い取るということになっているものである。
 なお、県有環境林については、現時点において取得目的以外の様々な活用も検討した上で、当面、利活用の見込めないもののなかから、水源涵養、CO2排出抑制など、森林の持つ公益的機能に着目し、環境林として取得したところである。

(4)基準財政需要額と事業費の比較について
【質問】
 基準財政需要額は、地方財政に関する基本的な方針とその標準的な姿を掲げる地方財政計画に組み込まれた、給与費、社会福祉費、公共事業費、単独事業費などの内容を基礎としたものであるとされている。もっぱら他府県など類似団体比較等で事業費の比較は行われているが、基準財政需要額での比較検証は行われていない。一般財源ベースと事業費ベースでは困難とは思うが、基準財政需要額で比較を行い予算配分や財政改善の検討を行うことは出来ないか、例えば、人件費は需要額から判断して多いか少ないか、投資事業について需要額に相当する分と先行投資分の比率はどうかなどの検討が出来ないか伺います。

【答弁】
 基準財政需要額を比較する上では2点課題があると考えている。1つは、現時点において、基準財政需要額が本県としてあるべき財政需要額を表していないということである。ふさわしくないと考えている。
 例えば、昨年度公表した平成19年度一般財源ベースの決算額と基準財政需要額との比較では、決算額 1兆1,558億円に対し、留保財源額を加えた需要額は 1兆328億円と、決算額が1,230億円上回っている。
 この要因としては、全国的な傾向ではあるが、①社会保障関係費が増嵩しているにもかかわらず地方財政計画の規模の水準が抑制されていること、②基準財政需要額そのものの中で算定されている公債費、医療関係費などが十分入ってないこと、③乳幼児や障害者等への医療費助成など地方において広く実施されている標準的な行政経費が実は未算入であることなどで、必ずしも基準財政需要額がその府県の財政状況を100%表しているわけではないということである。
 その他、義務教育の職員の給与も、平成20年度の決算額を見ると、都道府県の決算額の方が2,700億円も多く、そういったものを積み上げると、全国の都道府県で2.7兆円もの差があるという数字もあるので、それでもって、予算的な算定、判断するのは、なかなか難しいのではないかと考える。
 もう一点の課題は、人件費や投資的経費等、特定の項目については、基準財政需要額がでるものがあるが、近年、交付税算定上、包括算定というような算定方法が導入されており、これについては、詳細は明らかにされていないので、それぞれ区分できないような状況が起こっている。
人件費についても、全体でどれだけ入っているが細かく区分できないような状態が出てきたので、全体としての活用が難しくなっているという課題もある。そのようなことから、基準財政需要額をそのまま活用していくのはなかなか難しいのではないかと思っている。

3.選択と集中について
 【質問】
今定例会の代表・一般質問でも「コンクリートから人へ」の理念について、揶揄・批判も含めた発言が多くあったと思いますが、私は、ムダな事業をやめて、真に必要な事業だけを行う、いわゆる県が進める事業の「選択と集中」のことかと考えます。また、私は、複雑、怪奇にしている地方財政制度、国庫補助金・交付金、地方交付税、内部留保金、地方交付税の事業費補正(事業による起債の償還額の補填)、臨時財政対策債(本来は地方交付税、不足分)、減収補填債、行革推進債、退職手当債等々、地方財政制度を駆使するのが財政手腕とさえ思えるところに実は、「コンクリートから人へ」の理念、提起が生まれてきたと思います。極端な言い方かも知れませんが、多くの事業を起こし、多くの起債を発行すれば、単年度でみれば事業費補正で交付税が措置され一般財源が増えるという現象が、国も地方を合わせ1千兆円に上る借金体質を生み出したとも言えると思います。
 例えば、但馬空港問題を例に上げれば、そもそもは但馬地域の振興・活性化にむけた事業であったと思います。多額の用地買収・補償費、建設工事費は、大きな経済効果を地元にもたらしたと思います。但馬-伊丹間の搭乗率は平成20年度で65%を超え、地域挙げての存続に並々ならぬ努力を認めるところですし、敬意を表しますが、客観的にみて運賃助成が、大人普通運賃12,400円に対して豊岡市民等なら7,000円もの助成があることや、空港管理の人件費や維持費などの現状から、厳しい運営実態を認めざるを得ません。どれだけの公費を投入しているか計り知れません。これだけの公費をもっと別の形で投入できれば、本当の意味での地域振興・活性化につながると思いますが、残念ながら適当な補助金や交付金、資金手立ての制度はありません。このことが、地方財政制度の問題点だと思います。また、このような厳しい運賃助成を伴った現状でも羽田の発着枠拡大で但馬-羽田便に経営改善の期待を寄せておられるが、羽田便ともなればプロペラ機でなくジェット機を飛ばす必要性も生まれ、そのためには滑走路の延長が新たな課題となるように考えます。但馬空港を一例に挙げたが、真に地域の活性策と成りうる事業なのか、十分な議論を踏まえた事業の選択が必要と考えます。 
また、先ほど申し上げた県有環境林の取得に地域活性化事業債など有利な資金を使うことや、あるいは議論のあるところですが、土木・建築工事等で国庫補助事業を適用することで、必要以上あるいは過大設計とも言えるムダな事業も多くあると思います。工事雑費や事務雑費などの経費でも同様かと考えます。国の補助があるから、何でもするというのではなく、十分な議論の上での、選択と集中により事業を行うことが大前提かと考えます。
そこで、事業の選択と集中を図り、無駄を省き、真に必要な事業に厳選して効率的に執行することが必要と考えますが、ご所見をお伺いします。

【答弁】
 厳しい財政環境の時代にあっては、既存事業を見直し、県民ニーズの高い事業に組み替えていくことが重要である。「選択と集中」はそのための手法であり、それが、新行革プランに基づく改革の取組である。
 新行革プランで示された、「時代の変化への的確な対応」「国と地方、県と市町の新たな関係の構築」「効率的な県政運営の推進」「県民意向の的確な把握」など10の改革の視点に基づき、事務事業については、事業そのものの必要性をゼロから評価し、改革の取組を進めている。また、予算編成に当たっては、事業費5百万円以上の主要事業、245事業については、必要性や有効性、効率性等の観点から事業評価を行い、ホームページで公表することとしている。
 この結果、22年度当初予算では、439事業を廃止する一方、県政推進プログラム100に基づく事業を重点に、新たに250の事業に取り組むこととした。
 このような改革の取組については、行革審議会でも、概ね新行革プランに沿った見直しが行われているとの評価をいただいている。
 なお、投資事業の実施にあたっては、これまでは、事業補正により交付税措置される有利な県債の活用に努めてきたが、22年度新規事業から、国の方で一定の見直しがされることとなっており、先発団体と後発団体間の不均衡等の問題が生じる事業を除き、事業を行った時に一部は交付税措置され交付税が増えるといった、いわゆる事業費補正が廃止されるという動きとなっている。
このため、今後とも、より一層、選択と集中を徹底し、県民の期待に応える事業の構築に努める。
それから、但馬空港について、ご指摘いただいたが、県土整備部に確認したところ、空港の及ぼす効果として、例えば、分譲が難航していた豊岡中核工業団地は、空港整備後に全区画32区画が分譲を完了した。また、台風災害で陸上交通が寸断された際も、貴重な代替交通手段として、災害復旧関係者に大いに利用された。また、現在働きかけを行っている羽田便についても、現状の1,200mの滑走路で就航可能な機材、プロペラ機による就航をめざしているので、ご理解願いたい。

4.歳入確保・歳出削減の努力について
(1)県税収入の確保について
【質問】
極めて厳しい経済情勢の中、県税収入も厳しい状況かと認識します。しかし、一方で、県の財政も非常に厳しい状況にあり、収入確保に向けた取り組みが不可欠であります。
 本県が目指す自己決定・自己責任の原則に基づく自主的な財政運営を展開するためには、歳出面での改革とあわせ、自主財源を最大限に確保することが必要であり、このような観点からも、税収確保対策の徹底が求められています。
そこで、今年度の税収確保の取り組み状況と来年度の方針について伺います。

【答弁】
厳しい財政状況の下、県税収入の最大限の確保を図りますため、徴収歩合が全国平均を上回るという新行革プランの目標達成に向けて、全力で取り組んでいるところでございます。
具体的には、まず、県税の滞納額の半分以上を占めるようになりました、個人県民税につきましては、整理回収チームを市町に派遣をいたしまして、市町職員との共同徴収を行いますとともに、市町の要請に基づきまして、県自ら直接徴収にも取り組んでいるところでございます。
また、課税件数が170万件を超え、滞納件数の非常に多い自動車税につきましては、コンビニ納税により納税者の利便性向上を図りますとともに、特別班による電話催告、12月の税収確保重点月間を中心といたします全県一斉でのタイヤロックを活用した差押えなど、徴収の強化を図りました。併せまして、中古自動車のデーラーさん方に協力を求めまして、自動車の下取り時に滞納がないことを確認するといったようなことにも取り組んでおります。
また、不正軽油の対策につきましては、路上や事業所での軽油の抜取調査に加えまして、県が発注いたします公共工事現場での抜取調査を強化いたしております。また、最近増えて参りましたバイオディーゼル燃料についても、製造業者に対する調査を行っているところでございます。
このほか、悪質な滞納者に対しましては、自宅や事業所を捜索をいたしまして、差し押さえた財産を公売し、換価するなど、様々な取組を行ったところでございます。
平成22年度につきましても、このような差押・捜索等による滞納整理をさらに強化いたしますとともに、県発注公共工事における不正軽油使用者に対する指導の強化、また、個人住民税につきましては、特別徴収を実施していない事業所に対する指導の強化などにも取り組んで参る所存でございます。

(2)県民緑税の延長について
【質問】
 県民緑税について、新行革プランには導入後5年を経過する中で、制度の延長の必要性について検討するとありますが、来年度で5年目を迎えます。しかし、来年度の実施計画には検討予定の記載も全くありません。県民負担が生じるものであり、周知期間も考えると、早期の検討、方針決定が必要と考えますが、検討状況を伺います。

【答弁】
県民緑税は、平成18年4月の制度創設時において、創設から5年を経過する時点で、税導入の効果や社会情勢等を踏まえ、見直しを検討することとしていた。このため、まずは緑税を活用して実施している「災害に強い森づくり事業」と「県民まちなみ緑化事業」の効果について、各事業毎に有識者等から成る委員会で検証している。3月中にはそれぞれ報告を受ける予定である。
これまでの各委員会における検証の過程では、災害に強い森づくりについては、台風9号の災害調査において、緊急防災林の整備地470箇所の内、被害が発生したのは、18箇所、面積比率で0.06%であったことなどから、土砂災害防止に機能が高まっているという結果が出ている。
また、県民まちなみ緑化事業については、駐車場の芝生化事業が、温暖化対策として、地表面温度の低下、都市部のヒートアイランド現象の緩和に効果が認められている。これら、委員会からの検証報告後、すみやかに今後の具体的な対応案をとりまとめ、関係者の意見を伺うなどの取り組みを進めたい。
県民緑税を延長する場合、当然のことながら、納税者である県民、企業の理解と協力を得ることが不可欠であり、今月には、森林整備や都市緑化の推進に必要な施策についての意見を幅広く聞く、県民モニターも実施することとしている予定だが、ご指摘のように周知期間等を考慮すると早期に次の段階に検討のレベルを上げていく必要があると考えている。県議会ともご相談しながら、精力的に作業を進めていく。

(3)未利用地の売却状況について
【質問】
平成20年度決算審査の特別委員会において、加藤議員も確認しましが、未利用地をそのままに放置しておくことで、管理費等の歳出がふくらみます。また、活用方法によっては歳入が見込まれることから、早期売却等が望まれます。そこで、昨年10月に加藤議員が確認した後の、売却状況と早期処分に向けた今後の取り組みについて伺います。

【答弁】
昨年10月の決算特別委員会で平成20年度までの未利用地の処分実績をお示しいたしました。その後の今年度の売却状況でありますが、この2月までに一般競争入札を6回実施し、未利用地31物件を入札に付しまして、17物件、2,294百万円の売却を行いました。このほかに、三宮駅前にあります神戸交通センタービルの県が保有しておりました4階部分の売却、また地元市からの要請に基づきまして市に売却したもの等を含めまして、現時点で、32物件、約3,400百万円の売却収入を見込んでおります。なお、これ以外に現在、職員公舎跡地、県営住宅跡地10物件の一般競争入札の受付中でございます。3月中に入札を予定しております。
次に早期売却を進めるために、我々職員だけではなかなか困難で、かなりの時間を要する境界確定作業、これをその専門の団体であります県の土地家屋調査士協会への委託、また、争いのある境界の位置を法務局が定める筆界特定制度、このよう制度を活用いたしまして、条件がととのった物件から早期に売却を行うこととしております。
さらに、売れ残った物件につきましても、県の宅建業協会への販売委託、インターネット入札等様々な売却手法を活用いたしまして、新行革プランで見込んでおります売却収入の確保に向けて努力してまいりたいと考えております。

(4)県民参加の各種ボランティアによる労務提供等による歳出削減の取り組みについて
【質問】  
県では県民との参画と協働を推進する中で、本来、県で実施すべき事業について、各種ボランティアの活用や、NPO法人にアウトソーシングする等を行っているかと思います。このような取り組みは、県で直接実施した場合と比べて、一定の歳出の削減効果につながっていると考えます。
  このような取り組みについて、行財政構造改革を推進する県としては、積極的に取り組むべきであります。
  そこで、県民の参画と協働の推進による県民参加の各種ボランティアによる労務提供等による歳出削減効果についてのご所見を伺います。

【答弁】
本県では、平成13年度からすでに道路や河川等の公共物におきまして、地域住民がボランティアで美化清掃活動を行ういわゆる「ひょうごアドプト」の取組みを展開しております。あかりのパートナーのように地域の企業や地域団体に、道路照明灯の維持管理の協力、あるいは協賛金の協力を働きかけるといった取組みも始めております。また、やしろの森公園をはじめとするふるさとの森公園では、熱心な地域住民の参画を得て里山保全事業などにも取り組んでおります。こうしたことを通じまして、地域の住民の愛着心を深めていただく中で、経費節減を図ることが可能となっているのではないかと思います。
さらに、東播磨生活創造センターでは、NPO法人を指定管理者とするということの中で、運営費が5,700万円から3,900万円となる。一方で、生活創造・地域づくり活動支援のノウハウを活かした運営ということで、そうした両立も図っております。
さらに、施設運営だけでなく、事務事業でも、例えばふれあいの祭典については、地域主体で実施していただくということの中で、経費が従来の7,900万円から1,000万円程度に縮減するといった中で、手作り感あふれる内容の演出をしていただきました。こうした取組みというのは、必ずしも経費削減といったことを主眼に語るべきではないかという風には思いますが、その点を踏まえつつということで、様々な県民の参画を得て、多様な協働事業を進めてまいりたいと考えております。

<企画県民部①>
1.地域再生大作戦について
自立生活圏の構築、「地域再生大作戦」と仰々しいすぎるほどの大作戦、「本当に何とかしてくれ」「本当に何とかしなければ」と両面の声が聞こえてきます。とりわけ私は、少子、高齢、過疎の進行する中山間地に住む者、議員としての使命のように感じています。また、私たちはそのような中で市町合併を経験してきました。本来市町合併の議論とは、そのような地域再生・まちづくりの議論から出発すべき課題でありましたが、残念ながら「アメとムチ」による合併特例法に振り回された感があります。また、市町合併後さらなる人口減少社会へと進み、一昨年からは世界同時不況、デフレ経済で先行き不透明となっています。「地域再生大作戦」に大いに期待をしつつ、私も関わっていきたいと考えています。
さてこの度、前田高志関西学院大学教授を座長とする「市町合併の効果・課題に関する研究会」により「兵庫県における平成の市町合併の効果と課題について」が報告されました。
その中で県に求められるものとして、②市町間の調整、県と市町の連携強化、ア.定住自立圏等の市町間連携についての調整 イ.地域課題の解決にむけた市町と連携した取り組み として、ⅰ 小規模集落対策として「小規模集落元気作戦」の活用。ⅱ 多自然居住地域において、地域資源を発掘、活用することで地域の自立を目指す「ふるさと自立計画推進モデル事業」への取り組み。ⅲ 集落の状況把握、集落点検、集落内での話し合いの活発化など実情にあった集落対策を支援する「集落支援員」の活用。ⅳ 地域で生活し、農林漁業の応援、水源保全・監視活動、住民の生活支援などを行う「地域起こし協力隊」の活用。ⅴ 住民生活に不可欠な商店や医療・金融機関等の存続・誘致、物販品等の配達や巡回診療などによる住民の生活が維持できるような取り組みへの支援。ⅵ まちづくりの観点から、高齢者支援施設の設置等による地域コミュニティ機能の強化などの支援。ⅶ まちづくり会社等による商店街の空き地や空き店舗の不動産の有効活用、移動店舗の確保などの促進。が挙げられていました。合併の評価についてはいろいろと反論したい部分もありますが、その中で県に求められるものについてはそのとおりだと思いますし、「地域再生大作戦」そのものです。平成22年度当初予算発表資料に記載されている展開事業一覧を見ても、重層的にソフト・ハード事業が見事に組み込まれており、素晴らしいと感じました。

(1)小規模集落元気作戦の今年度の成果について
【質問】
そこで、「地域再生大作戦」の平成22年度の展開事業には、多くの新規事業が含まれていますが、その中でも6つの柱の一つである「小規模集落元気作戦」については、人口減少、高齢化が進む小規模集落の交流を核とした活性化をめざして実施している本年度2年目の事業であります。昨年上田議員が質問をされましたが、1年目の成果を踏まえた上での「小規模集落元気作戦」の2年目の成果についてまず伺います。

 【答弁】
 小規模集落元気作戦については、初年度は、集落内の合意形成や都市部団体との出会いの場である交流会の開催など、持続可能な交流に向けた準備段階として、交流相手探しとマッチングに取り組んできた。
 本年度は、交流トライやる事業により都市パートナーとの「顔の見える関係」をつくるため、集落行事や都市パートナーが主催するイベントを活用し、集落の魅力探しや農産物等の販売などを通じた相互交流を繰り返すことで、お互いが気軽に連絡を取り合うような関係も生まれ、自主的・自立的な交流が進みつつある。
 また、養父市の岩崎(いわさい)では、郷土料理づくりを通じて都市パートナーとの交流をさらに深めようと、公民館の調理場を拡充したほか、宍粟市の倉(くら)床(とこ)では、集落の新たな特産品として椎茸のホダ木づくりに着手するなど、本格的な交流に向けての積極的な動きも見られるようになってきた。
 一方、上郡町の行頭(ゆくとう)では、都市パートナーからの提案をヒントに「米づくりオーナー制度」への取組が始まるなど、ひとつの交流をきっかけに新たな挑戦へとつながった事例もあり、交流による成果が、少しずつではあるものの着実に表れつつある。

(2)今後の展開について
【質問】
今年度の成果を伺いました。平成22年度については、多くの新規事業も含めて、重層的にソフト・ハード事業を展開されようとしており、素晴らしいと思う反面、うまくコーディネートして実施していただかないと、事業の効果が薄れるのではないかとも危惧します。
そこで、3年目を迎える小規模集落元気作戦の展開を含め、地域再生大作戦の展開事業全体が相乗効果を発揮して、事業効果が最大限となるよう、いかに取り組もうと考えているのか伺います。また、私の地元の神河町でも大変お世話になっており感謝をいたしていますが、大川原集落は「小規模集落元気作戦」だけでなく「多自然居住の推進」事業等々重層的な取り組みの支援を受けています。他地域の事例はどうなっているか合わせてお尋ねいたします。

【答弁】
 「地域再生大作戦」では、都市との交流や地域の連携、農業の振興、定住促進や地域外の力の活用など、多様な観点から地域の主体的な取組みを総合的に支援していくこととしており、様々な施策の活用を図りながら、それぞれの地域にふさわしい支援メニューを組合わせ提供していくことを基本としている。
 そのため、大作戦の6つの柱の関係事業を所管する関係部局とは随時連絡調整を図るほか、取組みに応じて県や市町の関連部局の職員が連携し、助言や支援を行っていく。また、地域にコーディネーター役として派遣するアドバイザーとも的確に情報共有しながら、取組内容に応じた施策を効果的に組合わせ実施し、地域の活性化や再生を進めていきたい。
 なお、小規模集落元気作戦と他事業を連携して実施している事例としては、神河町の大川原のほか、篠山市の丸山では国交省事業を活用した農家民宿、また、香美町の実山では但馬県民局の「獣害レンジャー制度」と連携した鳥獣害対策のボランティアの受け入れ、淡路市の長沢では淡路県民局の環境体験学習事業と連携したエコツーリズムの取組みなどがある。
 この他にも、特産品開発などの農業分野では農業改良普及センター等からのアドバイスや補助を、また、集落の交流相手となる都市パートナーに対しては、県土整備部の助成事業で支援するなど、これまでから効果的な連携・実施に努めてきており、「地域再生大作戦」の展開においても、これらの経験を生かし取組んでいきたい。

2.県民の参画と協働の推進について
 【質問】
 本格的な人口減少社会の中で、中山間地をはじめ都会でも空洞化が進み高齢化社会が深刻になりつつあります。そしてそれは地域コミュニティの破壊とつながっています。そのような社会の状況だからこそ、県民の参画と協働が強く求められます。
ちょっと視点を変えてみてみますと、住民の社会への参画を図るバロメーターは、まず選挙の投票行動だと考えます。平成21年の兵庫県知事選挙での投票率は36.02%です。井戸知事に全幅の信頼を置いた結果かも知れませんが、3人に2人は棄権です。また、別の観点では、震災で被災し、お互いを励まし合い、助け合い、地域コミュニティが自然に機能したと言われる兵庫県においてさえ、住宅再建共済制度の加入率は、1月末で7.6%という現状があります。このことをどう捉えるべきでしょうか。
このような現状を踏まえると、私は、参画と協働の前にまずは、地域自治意識、自治組織の現状はどのようになっているのか、疑問を感じてしまいます。
例えば、団体ごとに見てみますと、どの地域においても自治会組織はまだまだ機能をしているとは思います。では、婦人会組織はどうでしょうか、私のような田舎においても婦人会組織がだんだんと消滅しています。一方、自治消防団活動は、団員が減少はしていますがまだまだ機能していますし、青年団組織が残っているところも稀にあります。子供会、PTA組織は児童・生徒の減少があっても機能しています。老人会組織は、最大組織で活発な活動を多くみますし、任意の組織も生まれてきています。さらに、丹波地域の母親の方々自らが地域で小児入院ができる病院を守る活動を、地域医療を守る活動まで発展させて取り組んでいる「県立柏原病院の小児科を守る会」などには、感心をいたします。
まだまだいろいろな組織や見方・分析はあるでしょうが、まずは基本的な自治組織の活動が出来ないようでは、参画と協働も難しいのではないかと思いますが、行政の役割としては、このような自治組織の活動を支援したり、足りない分野を補っていくような取り組みが求められるのではないかと思います。
そこで、これまで指摘してきた視点も踏まえて、今後どのように県民の参画と協働を推進されていこうとしているのかお尋ねいたします。

 【答弁】
 地域住民の結びつきが希薄化し、地域コミュニティの弱体化が深刻化する中、子育て支援、高齢者支援、防災・防犯問題など、地域が抱える様々な課題の解決に大きな力となるのは、やはり自治組織等の地域団体によるところが大きいと認識している。
 実際、昨年の台風9号災害においても多くのボランティアの活躍を支えたのは地元自治会等によるきめ細かなニーズの把握であった。
 こうしたことから県では、「県民交流広場事業」により地域コミュニティ再生のための身近な活動拠点づくりの支援を行うとともに、「地域づくり活動応援(パワーアップ)事業」により地域団体等による自主的な活動をサポートしているところである。
 併せて、今後、複雑・多様化していく地域課題の解決のためには、こうした地域団体だけではなく、NPO等多様な主体の協働による対応も必要となることから、新たにNPO、企業、社協、行政等が参画する「地域づくりネットワーク会議(仮称)」を開催し、情報の交換、問題意識の共有等を図るとともに、新たな連携・協働に向けて学び合う「場づくり」を進めていきたい。
 来年度、5年ぶりに実施する参画と協働の推進に関する施策の効果の検証結果も踏まえつつ、県と市町の適切な役割分担のもと生活者の視点に立ち、多様な主体の参画と協働による兵庫づくりを推進していきたい。

<病院局>
1.県立病院12病院の役割について

(1) 県立病院の役割について
【質問】
 県立病院の設置条例では、第1条 県民の健康保持に必要な医療を提供するため、兵庫県病院事業を設置する。 第2条 病院事業は、常に公共の福祉を増進するとともに、企業の経済性を発揮するように運営されなければならない。 2 病院事業の施設としての病院の名称及び位置は、次のとおりとする。・・・とし、12の病院名と位置が記されています。
県立病院は、低所得者層の医療を確保するため、西宮病院が昭和11年に西宮懐仁病院として設置されて以来、結核対策、地域の中核的病院としての役割、専門医療における全県の拠点的病院としての役割など、その時々の県内の疾病構造や医療ニーズ、地域の医療提供体制に的確に対応し必要な県立病院が設置されてきており、各県立病院において、がん、循環器疾患、糖尿病医療や、救急医療や感染症医療等高度専門・特殊医療等の政策医療を中心に医療提供がなされています。
一方、県内においては、私の地元神崎郡が公立神崎病院を設置しているように、財政状況が厳しい中ではありますが、公立病院を設置し、住民に身近な医療を提供している自治体もあれば、他方、人口や財政規模においてはるかに大きな市において市民病院がない中で県立病院が設置され、市民の医療ニーズに応えているというところもあります。
県立病院のあり方については、しっかりと整理されていることは認識していますが、県立病院の配置や提供している医療内容を判断すると、必ずしも県立病院だけで県民の医療を全てまかなえるものではないとも感じます。
そこで、県民への医療提供について、県立病院が果たす役割についてお尋ねいたします。

広域自治体立病院としての県立病院の役割はよく理解できるが、一方、県立病院が設置されている市町は非常に恵まれた医療環境にあるとも言えます。そのため、厳しい財政状況の中で病院経営している地元自治体との公平性の観点から、県立病院の運営や整備に当たっては、地元市町の応分の負担について十分に配慮いただきたいと要望しておきます。

【答弁】
 兵庫県では、急性期から回復期、在宅医療に至るまで適切な医療が切れ目なく提供される患者中心の医療提供体制の構築を図るため、平成20年4月に保健医療計画を見直し、県立病院をはじめとした医療機関の機能分担の明確化を図ったところである。
 また、県立病院においては、平成21年1月に「病院構造改革推進方策(改訂版)」を策定し、その中で、広域自治体立病院である県立病院が果たすべき役割として、全県あるいは二次医療圏域における高度専門・特殊医療を中心とした政策医療を効果的かつ効率的に提供するとともに、他に中核となる医療機関がない二次医療圏域にある県立病院については、他の医療機関と連携して、地域医療を確保すると定めたところである。
 このような役割分担のもと、県立病院は、一般の医療機関では対応困難な重症患者等の急性期を中心とした医療を提供しており、地域で身近な医療を提供する民間の医療機関等から症状の重い患者の紹介を受ける一方、症状が回復した患者については逆紹介を行うなど、機能分担と連携を積極的に推進することにより、県立病院に求められる役割を適切に果たしてまいりたい。

(2)政策医療の提供が経営に与える影響について
 【質問】
尼崎病院では、神経難病医療の全県の拠点的な機能を担う、塚口病院では成育医療の全県の拠点的な機能や性差医療のセンター機能を担う、加古川医療センターでは、生活習慣病医療の全県の拠点的な機能を担う、光風病院では精神科医療の全県拠点病院として、急性期医療を中心に他の医療機関では処遇が困難な精神科医療を担う、こども病院では、小児専門病院として、また総合周産期母子医療センターとして、小児やハイリスク母子への高度専門医療を担う、がんセンターでは、都道府県がん診療連携拠点病院として、がんの全県的な拠点病院としての役割を担う、姫路循環器病センターでは、他の医療機関では対応困難な心疾患、脳血管疾患の急性期医療を中心とした高度専門医療の全県の拠点的な病院としての役割を担う、粒子線医療センターでは陽子線及び炭素線の2種類の粒子線治療が可能である世界唯一の施設としてがんの先進医療を担う、災害医療センターでは災害医療の全県拠点としての役割を担う、西宮・淡路・柏原病院では全県的な機能を担うとはなっていませんが、それぞれ圏域の中核的な病院として、がん、糖尿病等の高度専門医療を担うとなっています。
 このように、それぞれの県立病院が、全県や二次医療圏域における拠点的な病院として、高度専門・特殊医療等を効果的かつ効率的に提供する役割を担っていますが、各病院がこれだけ多岐にわたる役割を担っていることを考えると、役割によっては、その役割を果たすことが経営上大きな負担となっていることも考えられます。そういう意味で、各県立病院の役割についての経営的観点からの検証も必要ではないかと考えます。
そこで、その特色ある政策医療の提供が病院経営に与える影響についてお尋ねします。

【答弁】
①県立病院では、高度専門・特殊医療を中心とした政策医療や地域医療を効果的かつ効率的に提供する役割を担っており、その提供する政策医療の内、救急医療、感染症医療、不採算地区医療などの医療については、経営に伴う収入をもって充てることが適当でない不適当経費として、結核医療、精神医療、小児医療などの医療については、経営に伴う収入のみをもって充てることが客観的に困難であると認められる困難経費として、地方公営企業法に基づき、一般会計から繰入金が措置されている。
 一方、一般会計から繰入金が措置されない医療については、診療報酬を含めた料金収入で賄うこととなっている。
 病院事業においては、これらの医療を公営企業として経済性を発揮し、効果的かつ効率的に実施することが求められていることから、昨年5月に策定した県立病院改革プランにおいて、自立した経営基盤の確立を図るため、こうした政策医療にかかる一般会計繰入金の繰入後での平成28年度の当期純損益黒字化を目標としたところである。
 しかしながら、現在の病院事業は、一般会計から繰入金が措置される政策医療を含め、勤務医の不足・偏在などによる患者減少、累次の診療報酬改定などにより、経営状況が悪化している。
 このため、多方面にわたる医師確保対策による診療機能の充実などにより収益向上を図るとともに、費用抑制などの取り組みにより、更なる経営改善に取り組み、改革プランでの目標を達成することとしている。

②基本的に政策医療については、一般会計からの繰入れ及び診療報酬を合わせた形でまかなっていく、一方、その他の医療は診療報酬でまかなっていくという中でトータルとして県立病院として黒字化を目指すということであるが、現時点では黒字化していないので、まだまだ努力が足りないと思っている。今後、黒字化できるよう努めていきたい。

2.県立病院改革収支フレームについて
【質問】
 自立した経営の確保に向けて、日夜弛まぬ努力をされていることに敬意を表します。 
 昨年5月に策定された兵庫県の県立病院改革プランにおいて、平成28年度には病院事業全体での当期純損益の黒字化を達成するため、病院ごとに平成28年度までの収支計画を策定するとともに、病床利用率や入院単価等、主な経営指標に係る具体的な数値目標を設定して経営改善に取り組んでおられます。
 そういう中で、今年度は人事委員会勧告に伴う大幅な手当・賃金の切り下げがありました。人件費の削減に伴い費用抑制が進み、経営指標に係る数値目標の一つである給与費比率の改善にもつながっているのではないかと考えます。
また、今定例会の一般質問において、我が党の竹内議員からも確認しましたが、新政権による平成22年度からの診療報酬の改定もあったところであり、竹内議員への答弁では約9億円程度の収支改善が見込まれるとのことでした。
そこで、今、指摘した2つの要因が県立病院の経営に与える影響を伺うとともに、今後の収支フレームにどのように影響するのか伺います。

【答弁】 
平成21年度の人事委員会勧告による給与改定の影響額は、平成22年度当初予算において約7億円の給与費の縮減と見込んでいる。また、診療報酬改定による影響額は、現時点で試算すると、委員ご指摘のとおり、収益は入院を中心に6億円の増収、費用は薬品費等で3億円の縮減となり、合わせて9億円の収支改善につながると試算している。この二つの要素で16億円の収支改善になると見込んでいる。
 しかし、一方で、①共済組合追加費用等の負担率アップにより法定福利費が11億円、②退職給与金が4億円、③救急外来業務手当の創設や研究研修費の充実など医師確保対策にかかる費用が2億円と、それぞれ改革プランの計画値から増加している。
 これらの要因を踏まえた結果、平成22年度当初予算における県立12病院の当期純損益は、光風病院の児童思春期病棟整備にかかる資産減耗費等(5億円)を除き、7億円の純損失となっており、県立病院改革プランにおける平成22年度の当期純損益(△9億円)に比べて、2億円の改善を見込んでいるところである。
 今後の収支フレームへの影響については、診療報酬改定の詳細な内容を踏まえ、新たな施設基準や各種加算の取得等に的確に対応していく中で県立病院の経営に与える影響が明らかになることから、それらの状況を勘案しながら来年度の新行革プラン3年目の総点検の中で見直してまいりたい。

3.一般会計からの繰入金について
 【質問】
病院事業会計には、一般会計から、毎年100億円を超えるいわゆる繰入金が計上されており、平成22年度当初予算においても、病院事業経営費負担金約123億円、病院事業資本費負担金約42億円など、合計約170億円が計上されています。
これは、県立病院において各種の政策医療の提供を行うための負担金等かと思います。病院事業の経営において、過度にこの負担金に依存しすぎることには問題があるのではと思いますが、県立病院が政策医療を永続的にしっかりと担っていくためには、一定は行政が負担していくべきであります。病院局としてもその必要性を知事部局にアピールすることはもちろんのこと、現在、県民への痛みも伴う新行革プランの推進中ですし、公営企業である病院局がなぜ県から負担金を受けているのかという疑問に対し、この経費の必要性を県民に対しても明確に示し、十分な理解を得ることが県立病院の持続的な経営のためにも必要だと考えます。
そこで、これらの一般会計からの負担金がどのような根拠で算出されているのかお尋ねいたします。また、交付税対象分の他に県単独分があるかと思いますが、その算出根拠も含めて、お尋ねいたします。

【答弁】
一般会計からの繰入金については、地方公営企業法において、いわゆる不適当経費と困難経費とが、一般会計において負担するべき経費と定められている。
本県の病院事業に対する一般会計繰入金は、総務省から毎年示される地方財政計画や地方公営企業繰出金通知(繰出基準)に基づき措置されるものと、小児医療、がん医療及び循環器疾患医療などの政策医療のうち、国の基準で措置されない部分について、県独自の基準を設けて措置されるものとがある。
国の基準に基づき算定される一般会計繰入金は、①企業債の元利償還金や法定福利費の事業主負担など、その実績に応じて一定の割合が措置されるものについては実績に基づき算定し、②政策医療などを提供する上で、標準的な収入と支出による収支差相当額などが地方財政計画において示されているものについては、その単価に病床数等を乗じて算定されている。
一方、県独自の基準によるものは、政策医療などを行う上で、その実態を踏まえ、収支差相当額について国の基準に準じて算定するとともに、診療報酬で賄うことができない経費については、その実績に応じて算定されたものである。
一般会計からの繰入金については、今後、疾病構造の変化、診療報酬や地方財政対策の動向等、県立病院を取り巻く状況の変化等に対応し、各県立病院の役割や診療機能を踏まえ、適宜、適切に見直しを行うこととしている。

4.減価償却費について
 【質問】
愛和病院(長野市)副院長のブログに掲載されていた平成19年の朝日新聞に、「民間企業なら建物や設備機器の更新に手持ち資金をあてることで、金利負担のある借金をできるだけ減らそうとする。だが、公立病院の建設や設備更新は借金で賄うのが普通だ。返済に充てる元利償還金の半分が自治体から繰り入れられ、交付税が上乗せされることもあり、自己資金で賄うより有利と考えられていた」との記事がありました。そして、三位一体改革のもとで交付税が削減され、診療報酬引き下げも相まって、公立病院の閉鎖も含め経営が厳しくなっていった現状を指摘している。
 また、この「借金した方が交付税が多くもらえる」という仕組みが、多くの自治体を、厚生労働省関係者の言葉のようですが「病院の名を借りた公共事業」に走らせ、借金をふくれあがらせた、と指摘しています。県財政にも言えることかと思いますが、言うまでもなく、借金に借金を重ねることは非常に危険であります。特に、病院事業については、地域医療を確保し、県民の命を守るという大命題があり、決して倒れることは許されません。健全経営に努めることをお願いします。
また、同じ朝日新聞の記事に減価償却費に関する次のような記載もありました。「公立病院も会計上、民間企業と同様に毎年、減価償却費を計上する。だが、実際には支出されないため、将来の設備更新に備える手持ち資金として残る。そのため、赤字が出ても手持ち資金の範囲内なら問題ない、と自治体も病院もとらえがちだった」という内容であります。
しかし、現状は病院建設に係る費用等については、補助金と起債を財源とし、その後、起債を償還していくこととなります。
そこで、兵庫県の病院事業会計における減価償却費、起債償還額資金収支の関係について、どのようになっているのかお伺いします。

【答弁】
 県民に対し良質な医療を提供していくためには、経営の健全化を図りつつ、高度専門医療等の医療機能の充実や施設の老朽化、狭隘化等への対応が必要である。
 高度医療機器整備や建替え等の施設整備の財源は、補助金や企業債であり、その元利償還金の1/2は一般会計からの繰入金で措置されるが、残り半分は減価償却費などの収益的収支で生じた留保資金を充てることが原則である。
 このため、資本的収支の不足額(各年度の元金償還額の病院負担分)が収益的収支の留保資金の範囲内であること、すなわち、収益的収支と資本的収支をあわせた総資金収支の黒字化を維持することが健全な病院経営のあり方であると認識している。
 平成20年度から導入された公営企業の健全化指標である資金不足比率も、この総資金収支の視点で設けられたものであり、県立病院改革プランにおいても、総資金収支の黒字化を基本とし、計画的に医療機器整備や施設整備を行うこととしている。
 なお、平成22年度当初予算における資本的収支の不足額は、約32億円であるが、収益的収支において約34億円の資金を確保しているため、総資金収支は約2億円の黒字となっている。

<教育委員会>
1 実効ある「ひょうご教育創造プラン」の推進について
① 子どもたちへの認識について
 【質問】
今定例会の代表質問で我が会派の藤井幹事長から、『「ひょうご教育創造プラン」策定後、初めてとなる予算が提案されましたが、兵庫の教育をより前進させるために、また、教育施策を実効あるものとするために、どこに重点を置いて取り組もうとしておられるのか』との質問を行いました。
それに対して大西教育長は、「プラン実現のため、子どもたちの規範意識の低下、基本的生活習慣の乱れ、学ぶ意欲の低下、さらに教職員が子どもと向き合う環境づくりなど、現下の教育現場におけます様々な課題を踏まえ、プランの着実な推進に向け、選択と集中によります施策の効率化を図りながら、現場重視の視点に立ち、平成22年度当初予算は、取り組んだところでございます。」とし、『プラン重点目標に基づき、子どもたちに自ら考え行動する力など、いわゆる『生きる力』を身につけさせることを重点に置きました。具体的には、1点目には知識・技能の定着、それらを活用する力や学習意欲、学習習慣など、確かな学力の確立を目指す「学力向上対策の充実」、2点目には、小中学校の円滑な接続を目指す「兵庫型教科担任制の推進」、さらには3点目には、高等学校におきまして、中高連携やスペシャリストの育成、理数教育によります学力向上等、テーマに沿って生徒のやる気を引き出します「魅力ある学校づくりの推進」、さらには4点目には、豊かな心を育みます、兵庫教育の特色でもございます「兵庫型体験教育の充実」の4つの施策を重点的に取り組むことといたしました。』と答弁されました。
そこでまず、答弁にあった子どもたちの規範意識の低下、基本的生活習慣の乱れ、学ぶ意欲の低下の背景と現状認識について、当局にお尋ねいたします。

 【答弁】
 都市化や少子化の進展など社会が成熟化する中で個人の価値観が多様化し、その多様化は、趣味や嗜好の分野にとどまらず、家族形態や就労形態などライフスタイル全般に及んでおります。このような変化は、一人一人が自分にふさわしい生き方を選択することを可能にする一方で、自分さえ良ければ良いという履き違えた「個人主義」の広がりでありますとか、家庭や地域の教育力の低下、朝食を摂らないなどの食習慣をはじめとした生活習慣の乱れ、子どもたちの規範意識や学ぶ意欲、体力・運動能力の低下などへの影響も指摘されております。
  「全国学力・学習状況調査」によりますと、本県では、校則を守っている児童生徒の増加でありますとか、家庭での学習時間の増加など、好転の兆しが見えるものの、朝食を摂らない割合が小学生に比べ中学生で高くなるなど課題も見られます。また国の「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」によりますと、本県では暴力行為が全国と同様に昨年度と比べて1.2倍に増加しており憂慮すべき状況にありますことから、引き続き課題に対応する取組が必要と認識をしております。

② 「生きる力」について
【質問】
従前の教育改革プログラムでは、「生きる力」を育むという表現が使われていたと思います。また、神河町教育委員会のパンフレットには、「確かな学力」「生きる力」を育むとされていました。今回の「ひょうご教育創造プラン」、大西教育長は、『プラン重点目標に基づき、子どもたちに自ら考え行動する力など、いわゆる「生きる力」を身につけさせることを重点に置きました。』と答弁されています。
私は、以前、文教常任委員会で『まず「生きる力」、人間社会に生まれてきた意義と課題、役割、人間社会で生きているんだとの自覚、そのことを学ばせることが「生きる力」をつけさせることだし、その自覚ができれば自ずと「確かな学力」が付くはずだ。』と申しあげました。
その点において、まったく同じ認識だと思うわけですが、改めて「生きる力」についての認識をお尋ねいたします。

【答弁】
  価値観が多様化し変化の激しいこれからの社会を生きる子どもたちに必要な基礎的・基本的な知識・技能の習得と、それらを活用して課題を解決するための思考力・判断力・表現力に加えまして、学習意欲といった、いわゆる「確かな学力」、自らを律しつつ、他人とともに協調し、他人を思いやる心や感動する心などの「豊かな心」、さらにはそれを支える健康・体力すなわち「健やかな体」などの「生きる力」を育む教育を目指して、学習指導要領の改訂が行われ、その一部の先行実施が始まっております。
  昨年策定した「ひょうご教育創造プラン」では、本県がめざすべき人間像として、「知・徳・体の調和がとれ、生涯にわたって自らの夢や志の実現に努力する人」を掲げております。子どもたちが自立して社会で生き、創造性を伸ばし、個人として豊かな人生を送るためには、「生きる力」、すなわち、確かな学力、豊かな心、健やかな体をバランス良く育むことが重要であると認識をしております。

③ 魅力ある学校づくりの推進について
【質問】
「県立高校教育改革第二次実施計画」の着実な推進として、4つの柱を挙げられていますが、その中身は、いかにして授業に生徒を引き込む、あるいは、授業に集中させるかだと思いますが、ここでは「高等学校の魅力ある学校づくりの推進」についての基本的な考え方についてお尋ねいたします。
今定例会の一般質問で我が会派の竹内議員が、県立高校に次世代リーダーを養成する特色校を創設することの質問、いや提言を行いました。
また、私たち民主党・県民連合は、昨年2月に「道立登別明日(あけび)中等教育学校・・・特色ある中高一貫教育」について視察を行いました。この学校は、19年4月に道内全域を対象として(寮も完備)開校した中等教育学校(一つの学校で一体的な中高一貫教育)という特色を持っているほか、イマージョンプログラム(英語で他教科を指導)の実践をはじめとした国際理解教育、北海道の良さを学ぶ地域学習、習熟度別学習・少人数授業・チームティーチングなど特色ある学校づくりに取り組んでいます。
教師も生徒も道内から選ばれたエリートであり、先生の話を聞くと問題行動などは一切無くそれぞれが自立した学校生活を送っているとのことでした。事実、子どもたちの表情は実に穏やかで聡明な雰囲気が漂っていました。校歌も、シンガーソングライターの大黒摩季の作曲であり、現代アート・ポップスで超現代的であると感じました。確かに、ハードの面、ソフトの面、生徒・教師も大変優秀で意欲も旺盛であり、教育効果も上がっていると想像しますが、私はもはやこれは公立学校が果たすべき役割ではないと感じました。
 そこで、学区の見直しも検討中とのことですが、普通科高校の中には、竹内議員の言うところの強力な進学校があってもいいのではないかと考えますが、高等学校の魅力ある学校づくりの推進について、基本的な考え方をお尋ねいたします。

【答弁】
 少子高齢化や社会の成熟化が進み、価値観が多様化するとともに、高校進学率が97%を越え、ほとんどの生徒が高校へ進学している状況にありましては、生徒の適性や進路希望等に応じて学びたいことが学べる、魅力ある学校づくりを推進することが重要であると考えております。このため、本県では、二次にわたります高校教育改革実施計画に基づきまして、総合学科や単位制高校、特色ある専門学科の設置、複数志願選抜・特色選抜の導入など、個性を尊重し多様で柔軟な高等学校の整備を推進してまいりました。
 こうした中、本県では理数教育や国際教育などを通じて高い学力向上を目指す生徒や、一方、専門技術を身につけたい生徒、スポーツで個性を伸長させたい生徒、高校3カ年間の中で自分の将来を考えたい生徒など、生徒の多様なニーズに対応した特色ある学校づくりも進んできているものと考えております。
 このような取組を今後も一層進めてまいりたいと考えておりまして、来年度には新たに「魅力あるひょうごの高校づくり推進事業」を実施しまして、中高や地域との連携を強めて魅力アップを図る学校や専門的な学びをさらに高める学校、また、学力向上を目指す学校など、学校ごとテーマにそった特色をつくり、生徒たちが誇りを持ち、やる気を引き出す魅力ある高校づくりを進めていきたいとこのように考えております。

④ 道徳教育について
 【質問】
教育委員会の平成22年度重要施策では、『児童・生徒が、郷土に誇りを持ち、社会の中で自己の責任や義務、役割等に対する自覚を深めるため、新たな兵庫の先輩の多様な生き方考え方等に触れる「道徳教育副読本」を作成し、「道徳の時間」を中心とした道徳教育の充実を図る。新学習指導要領で盛り込まれた「生命を尊重する心」や「規範意識」の育成など重点的・体系的に指導すべき分野について作成した道徳教育指導の手引きを活用し、指導方法の工夫改善や推進体制作りに取り組む。』とされています。
 私は子どもの頃よく世界偉人伝や伝記物語、例えばリンカーン、エジソン、キュリー夫人、ノーベル等々、日本では、野口英世、松下幸之助、乃木将軍等々、成人してからはPHP等で日本の各界の人たちの生き様に敬服したり感銘を受けたりしました。
また先日、文教常任委員会で県立農業高校を視察いたしましたが、生徒たちが育ててきた鶏の解体の実習をされており、以前に実習を受けた女生徒の命をテーマとした作文「ニワトリ」が、「心つないで」という副読本に採用されたとの話をお伺いしました。
 そこで、作成中だとは思いますが、本県が独自に作成する副読本の検討状況、作成スケジュールについてお尋ねいたします。

【答弁】

道徳教育副読本につきましては、兵庫の先人等を題材とする読み物資料とともに、兵庫ゆかりの著名人からのメッセージを盛り込み、子どもたちの発達段階に応じて、心に響く魅力ある教材とすることに取り組んでおります。あわせて、道徳教育を学校と家庭との連携により進めていく橋渡しとするような副読本にしたいという風に考えております。
現在まで、検討委員会を2回開催いたしまして、先人の伝記や県下各地の伝統文化、自然をもとに教材化する素材の選定等についての基本方針を策定いたしました。それに基づきまして、作成部会では、収集した素材をもとに、子どもたちが自分を見つめ直しながらよりよい生き方の拠り所を探り、自己の生き方について考えることができる読み物資料の作成作業の最終段階に入っているところでございます。
例えば、故郷の龍野を後にしてふるさとや家族の愛の深さに思いを馳せる三木露風の姿でございますとか、人生の岐路で医師か漫画家かの進路選択に悩む手塚治虫の姿を教材化する作業に取り組んでいるところでございます。
新年度には、メッセージ寄稿者を選定するとともに、作成した読み物資料を使った授業を試験的に実施しながら教師用指導書を作成いたしまして、年度末には、県内すべての児童生徒に配布できるよう作業を進めていく予定でございます。

⑤人権教育について
【質問】
 平成22年度重要施策では、『身近な暮らしの中での人権問題を捉えるため、地域の人々の生き方や考え方、歴史などの心豊な学習素材を活用した学習資料を作成し、県下に発信する「地域に学ぶ人権学習推進事業」を実施する。』とされており、また、兵庫県人権教育及び啓発に関する総合推進指針では、「身近な人権課題として (1)女性 (2)子ども (3)高齢者 (4)障害者 (5)同和問題 (6)外国人 (7)HIV感染者等(8)その他の人権課題」に分類されています。
また、各人権課題については、『各個別の計画等に基づきそれぞれの課題に対応した施策の推進に努めるとともに、女性センターやこどもセンター、のじぎく会館等の県の機関や国際交流協会、社会福祉協議会等の関係団体などと連携を図りつつ、啓発をはじめ研修、相談、研究事業などに取り組んできました。また、学校教育等においても、同和教育を中心とする人権意識の高揚を目指す教育の充実に努めてきました。』と記されています。
そして個別の(5)同和問題では、「同和問題についての県民の理解と認識は着実に定着しつつありますが、人々の差別意識については、結婚問題、就職問題を中心に課題も残っています。今後は、こうした差別意識の解消を図るため、これまでの教育及び啓発の中で積み上げられてきた成果等を踏まえ、すべての人の基本的人権を尊重していくための人権教育及び人権啓発として発展的に再構築し、学習教材や研修手法、啓発手法などに工夫を凝らしつつ、学校、地域、職域などでの様々な機会をとらえた教育及び啓発に取り組んでいきます。その際、同和問題を自ら解決すべき身近な課題としてとらえられるよう、この問題の固有の経緯を踏まえ、具体的な課題に即して、現状の正しい理解と認識を深める教育及び啓発を進めていくことが大切です。また、行政が主体性を堅持し、県民の信頼を高めていくとともに、えせ同和行為の排除や自由な意見交換のできる環境づくりを進めていくことが大切です。」とされています。
そこで、学校教育等における同和問題に対する取り組みの現状はどのようになっているかお尋ねいたします。

【答弁】
同和問題につきましては、平成14年3月に国が策定をいたしました「人権教育・啓発に関する基本計画」にありますように、わが国固有の人権問題であり、その早期解決を図ることは、国民的課題であると認識をしております。
県教育委員会におきましては、「人権教育基本方針」に基づき、児童生徒や地域の実態を踏まえながら、差別のない社会の実現に向けて力強く生き抜いてきた人々の生き様などを掲載をいたしました人権教育副読本を活用しながら、同和問題に対する正しい認識を育成しております。また、人権教育担当教員研修会等におきましては、同和問題に関する歴史認識を深めるなど、指導者の資質や能力の向上を図っているところであります。
しかしながら、県内の学校におきましては、毎年、数は少ないものの同和問題に関する差別発言、落書きなどが発生しておりますとともに、近年では、学校裏サイトにも差別的な内容が掲載されるなど、新たな問題も生じております。さらに、県が実施しました平成20年度人権に関する県民意識調査の結果を見てみましても、結婚問題などに同和問題に対する差別意識が残っていることがうかがえます。
今後とも、教育の主体性・中立性を堅持しながら、同和問題が人権問題の重要な柱であると捉えつつ、様々な体験活動や交流を通しまして、同和問題を自ら解決すべき身近な課題として主体的に取り組もうとする意欲・態度を育成し、人権教育の充実を図ってまいりたいと考えております。

⑥ 食育・米飯給食の推進について
【質問】
 ある政党の月刊誌を読んでいますと、米飯給食で、「いじめが消えた! 性格、体力、学力向上の”奇跡”」と出ていました。記事では、『「いま、日本の教育界で一つの”奇跡”が話題となっています。ある町の小学校で給食を完全米飯に変えた。すると、「いじめがなくなった!」という。さらに子どもたちの性格、成績もめざましく向上した。この画期的な実験に取り組んだ一人の教育者、大塚貢氏。長野県真田町(現上田市)の前教育長。彼は、その実験結果を日本総合医学会、第63回東京大講演会で発表。教育界は、騒然となっています。その演題は「なぜ、子どもも大人も凶悪犯罪を犯すのか」。さらに副題は「食事によって心と体を甦らせる」(月刊総合医学No.42)』となっていました。
その記事の内容を会派内で話していると、会派として5年前に真田町に視察にいった。さらに岡議員から、この3月3日に川西市の歯科医師会が大塚氏を呼んで講演会を開催される、また、我が会派は、従来から教育委員会に対して米飯給食の重要性、取組の強化を訴えてきたと聞きました。
それは、国も県も日本型食生活を11年も前から進めてきていますが、これは生活習慣病の低年齢化等、何かと課題が明らかになってきた昨今の食生活を是正し、現代病を誘発するとも言われている食生活の現状を改めようとするもので、国の食育基本法のもとに県が制定した条例によって、食育推進計画の策定を市町の努力義務としています。
 しかるに、米飯給食の拡大に向けた3カ年の助成制度も今年度で終了する上に、また、米粉用米新規需要創出モデル事業の実施で、学校給食おいて、新たに新規需要米を使用した米粉パンを提供する場合に小麦パンと米粉パンとの差額約10円を助成する予算が計上されており、ほぼ50トン分の需要拡大を見込んでいます。
しかし、日本型食生活の基本はごはんであり、ごはん食とパン食とは副食が全く異なり日本型食生活とは相いれません。米粉用米新規需要創出ということは理解いたしますが、安易に学校給食に受け入れることは理解できません。米飯給食の拡大は、日本食の奨励であり、それが先ほど紹介いたしました「米飯給食で、いじめが消えた! 性格、体力、学力向上の”奇跡”」です。
そこで、教育委員会の食育についての哲学、すなわち学校における食育の推進にあたり、米飯給食の重要性と米粉パンの導入について、どのような見解をもっておられるのかお尋ねいたします。

【答弁】
米飯給食は、今ご指摘のように栄養バランスにも優れ、どのようなおかずにもよく合い、よく噛むようになるなど、児童生徒が望ましい食習慣を身につけるために大変有効であるというふうに考えております。また、米飯給食と関連させて、地域の食文化や農業を学ぶことで、地域や食料に関する問題そういったものに関心が高まるなど、教育的な効果もあげておるというふうに考えております。
県教育委員会では、従来から米飯給食の推進に取り組んでおりまして、平成16年度には週2.53回であった米飯給食が、平成21年度には週3.11回にまで増加するなど成果を上げているところであります。
しかしながら、炊飯設備の不足あるいは人的条件等によりまして、パンから米飯への切り替えが困難な場合には、地産地消の観点から小麦パンを県産・地元産の米を使った米粉パンに変更する市町もあるというふうに考えております。
そうした中で、この度の農政環境部の助成事業につきましても、米飯給食への変換が難しい、そういった場合に学校給食に地場産物を活用するとの観点から、とりあえず小麦パンの米粉パンへの置き換えそれについての補助という風にしたものでございます。
県教育委員会の方では、県が進める「おいしいごはんを食べよう県民運動」これと連携を致しまして、学校における食育のなお一層の推進に努めたい、その中で、米飯給食を活用した指導実践の周知でありますとか、有効性への理解促進に取り組みまして、今後とも米飯給食の普及充実に努めてまいりたいと考えております。

【再質問】
地産地消用に米粉パンを置き換えるのはよいが、今せっかく増えてきた米飯給食が減る恐れも十分に考えられる。他の部局といえども同じ県庁の同僚からの事業提案で断りにくい面もあろうが、知事部局とは独立した組織である教育委員会の米飯給食、日本型食習慣、食育についての哲学について教育長の答弁を改めて頂きたい。

【答 弁】
今申し上げましたように米飯給食の教育的な効果というのはですね様々あります。そういう意味で教育委員会としてもですね米飯給食の推進と言うことでこれまでも着実に進めてきたところでございます。今申し上げましたように様々な課題がある中でですね農林水産部とのですね・・・ご意見もありますけども助成制度も活用しながらですねこういったこともやっとりますが、基本的にはですね米飯給食を促進していく、推進していくというのが基本的なスタンスでございますのでですね、関係部局との調整もしっかりやりながらですね推進していきたいこのように考えております。

2010年04月07日(水) | カテゴリー: 一般質問等 |

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